ピロシキ

怒りの日のピロシキのレビュー・感想・評価

怒りの日(1943年製作の映画)
3.8
「裁かるるジャンヌ」(ルルジャン、と僕は勝手に呼んでる)に次ぐ、魔女狩りモノの傑作。

超年上のオッチャンと結婚した若い女性が、帰ってきた若い息子さんと初対面してやだぁータイプーとなっちゃって、そんでたちまち若いもん同士でベロベロクチャクチャになっちゃって、それを知ったオッチャンに遂に「怒りの日」到来かと思いきや、イヤダー!と哀しくなっちゃって寝込んじゃってもーなんやねーんとなっちゃう話。「アタシはアンタのこと認めてませんからね、この魔女!」と嫁にキツく当たる夫の母、80年前も今も変わらず深刻な「嫁姑問題」をも扱いながら、物語の中心にあるのは窮地に立たされる女性、虐げられる女性のすがた。

序盤で火刑に処されてしまう老いた女性へのあまりにもムゲな扱いによって際立つのは、ルルジャンの火刑シーンとのあまりの落差である。静かに自分の中の「魔女性」を認めていくミステリアスな若い女が、最後にはあの老女のような結末を迎えてしまうのか……それは文字通り、神のみぞ知るところである。

とにかく、顔に当たる光がものすごく綺麗で見惚れる。みっちり計算されたであろうショットの数々が脳裏に焼き付く。
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