ヒッチコック、初期のサイレント作品。
アル中DV夫に画家との不倫を疑われたヒロインが離婚訴訟で敗訴し、傷心旅行先で知り合ったイケメン御曹司との新しい恋に生きようとするが…
物語自体は、まるで昼メロを思わせるなんて事ない展開。…とは言え随所でヒッチコックらしい演出手腕が見て取れる、紛れもなく後に通じる作品だった。
冒頭、裁判官のアップ映像に片眼鏡越しに映し出す人物描写。そしてアル中夫の手元の描写へとアップを多用し、更には細やかな表情の演技で魅せる。
そして極めつけはリビエラの橋を渡る車の遠景のカメラワーク。クリアな映像を想像すると息を飲むほどだった。
また、御曹司の実家での家族の冷たい態度は『レベッカ』にも通じる不気味さだし、ヒロインの過去のスキャンダルが暴かれてゆく過程に至ってはとてもサスペンスフルで監督らしさを感じるところ。
ただ、タイトルにある いわゆる性的な“ふしだらな女”とは全く異なると言う違和感は拭えず。DVの被害者と言う意味では現代にもそのまま通じる題材だった。
あと、ヒロインのヘビースモーカーぶりがやたら気になった。