KnightsofOdessa

ルトガー・ハウアー/危険な愛のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

4.0
No.595[あのセックス三昧だった愛おしき日々よ…] 80点

旅行に行く直前に何を見ようか迷っていると、本作品が目に入った。原題"Turkish Delight"とはロクムと呼ばれるトルコのお菓子であり、ラストでオルガがバカ食いするキャンディみたいなやつだ。邦題は"ルトガー・ハウアー/危険な愛"だが、クレジットはヴァン・デ・ヴェンの方が上である。

殺人妄想とセックス三昧の冒頭から銅像の女性が心に残っていることを示し、その女性オルガとのセックス三昧だった愛おしき日々を夢想する。否、無双する。いつでもどこでも半裸あるいは全裸でセックスしまくっていたふたりは、いつしか心が離れていき、離婚する。オルガは戻ってくるものの病に侵されており、亡くなる。

ラストの物語が陳腐なものになってセンチに流そうとしているのが心残りだが、そこに至るまでの狂いっぷりは後のオランダ時代バーホーヴェン作品(「女王陛下の戦士」「第4の男」)を遥かに凌駕している。そして、"食える"範囲内の悪趣味ぶりである。こりゃ一本取られた、面白いじゃないか!

完全にハウアーありきの映画である。この天然レプリカント青年の存在自体から滲み出る狂気というかエロさが本作品には必要不可欠なのだ。今となっては云々…
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