ヤンデル

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生のヤンデルのレビュー・感想・評価

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・冒頭の墓地のシーンで星条旗が写るのは「これからアメリカの話がはじまる」ことを象徴している。

・同じく冒頭で兄妹の兄は「僕は最近、教会に行く意味を感じない」というようなことを言う。これは当時のカウンター・カルチャーにおける若者の宗教離れ、合理主義を表している。

・当時は黒人の男性と白人の女性が一軒家で閉じこもるというだけで人によっては刺激が強い内容だった。

・従来のホラーは暗いシーンが多かったが、この映画では途中から部屋を明るくし、「見せていく」形式のホラーとなっていることも斬新だった。

・また、地下に隠れていた家族と1階の人達で地下に隠れるべきかの論争になるが、これは当時のアメリカのロシアの核兵器から身を守るためにシェルターに入るべきか否かという論争を表している。

・白人の若者と黒人が共闘して車で逃げ出そうとするが失敗する。これは若者たちによる社会革命、カウンターカルチャーの失敗を意味しているという。

・ゾンビ達はほとんどが白人で労働者や主婦のような格好になっている。これはアメリカのサイレントマジョリティーと呼ばれた白人のブルーカラー層を表しており、一人一人は弱いが集団だと力になることをゾンビで表現している。

・地下の少女がゾンビ化し、両親を殺してしまうが、これも世代間の断絶を表している。

・最後に黒人のベンはピッツバーグの猟友会の人達に頭を撃たれる。彼はゾンビにはなっていなかったので、肉爪で引きずり出されたとき、血が吹き出すが、構わず燃やされる。これは黒人に対する差別によってゾンビも黒人と一緒に処分されたというラストになっている。
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