アァーーーーーー

トラックスのアァーーーーーーのレビュー・感想・評価

トラックス(1977年製作の映画)
4.0
何故かデニスホッパーのwikiにその名のない映画。
時期的には彼が出演したヴィムベンダースの「アメリカの友人」と同じ年に公開されていて、飲酒やドラッグ癖が酷かったと言われるこの頃のデニスホッパーが自身監督作ラストムービーで見せた世界観を継承するかのようなアバンギャルドさを持った造りの編集、ほぼアドリブだと思われるセリフと演技に狂気が宿っていて、ほぼ監督に近い位置で関わっていたんじゃないかと思うほど。
逃げ場のない列車旅での交流から生まれる会話の難解さと意味不明な行動の数々が変人扱いで演出されていない辺りに違和感というか、ヒッピー文化の終焉とベトナム戦争の終焉の余韻を感じつつ、アメリカ人の当時の感覚を映画を使って代弁しているようでもあり、そのただただもどかしく進む内容に飽きてはくるが、当時当たり前だったと思われるプロパガンダソング(軽快な曲調で「ジャップを殺せ」と歌われる曲は一聴の価値あり)を定期的に挟みながら、戦争で受けた精神障害を表現するように、徐々に幻覚なのか現実なのか、観てる方も分からないぐらいカットが差し込まれていって混乱をきたします。
まあ、ストーリーや内容を思い返すと単純すぎてつまらないですが、ベトナム戦争への回答としては中々珍しい切り口の映画かと。
アァーーーーーー

アァーーーーーー