【第29回アカデミー賞 助演女優賞受賞】
『悲しみは空の彼方に』ダグラス・サーク監督がロバート・ワイルダーの小説『Written on the Wind』を映画化した作品。アカデミー賞では助演男優賞など全3部門にノミネートされ、助演女優賞(ドロシー・マローン)を受賞した。
メロドラマの巨匠ダグラス・サーク監督作品。観れば観るほど好きになっていく監督の一人。本来であれば恋愛映画って鬼門のはずなのにサークの流麗な演出と甘い雰囲気がクセになる。
本作も男女の四角関係を描いており、サークらしい作品になっている。ドロドロの男女関係を描きながらも甘く切ないストーリーラインに魅せられる。
ヒロインはローレン・バコールだが、確かにドロシー・マローンの方が美味しい役。「アバズレ」と呼ばれるような軽い女でありながら実は純愛を貫いているというキャラクターがよかった。
愛しているのに報われない四人、それぞれが辛く悲しかった。愛することの本質に迫るような物語に感動。撮影もやはり素晴らしく、流れるようなカメラワークと鮮やかでクラシカルな色使いが眼福。
サークならではの流麗なストーリーテリングと演出が光る傑作に仕上がっている。サーク特集がこれから始まるので時間があれば見に行きたいところ。サークは本当に素晴らしい。