瀬口航平

悪い子バビー/アブノーマルの瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画のことは死ぬまで忘れない、というか忘れられない。
最初の30分?が、この作品を受け入れられるかどうかの分かれ道だと思う。
子供や動物への虐待に近親相姦のオンパレード。。しかも陰鬱で汚い。。序盤の濡れ場のシーンはおれが観てきた中で最もおぞましいとすら感じる。。

外に出てからが本番ですね。。
同じ人間なのにまるで違う星に来たかのような感じ笑
主演の俳優さんはこれが長編映画初めてみたいだけど、すごすぎる。
最初は野生児みたいで手に負えないけど、周囲の人間に認められ始めてから、少しずつ知能を得てきたような感じがする。肯定してもらって、その中で他人と交流することで、健全な成長が育めるのだなと感じた。よく考えたら赤ちゃんとかもそうだよね。

猫を助けようとするとこと、そんなバビーを思いやるバンドメンバーが素敵。こんなやばい奴を簡単に引き入れるなんてろくな奴らじゃないと思ってごめんなさい。
こんなにもかわいそうな人間いないわ、、というぐらい考え得る限り最も孤独で絶望的な状況にいるけども、まさかロックバンドのボーカルと障害者施設の職員?的な立場で社会との折り合いをつけるとは思わなかった。
ここまで極端な人間でも輝ける道があるのだな。。。

35年もの間、ずっと変わらなかったのに、たくさんの出会いがこんなにも短期間?で彼を変えていくのは驚いた。きっとずっと白紙の状態で生きてきたのかも。そしてそれがものすごい勢いで塗りつぶされた。

最後は寓話的な感じもするけど、観てるときは妙に説得力も感じた。きっとこうなってほしいとおれが望んだからというのもある。指名手配の問題が解決されてないから必ずしもハッピーエンドとは言い難い気もするし。

小さい胸だな、のシーン地味に笑える。女性のほうが彼を下に見てるにも関わらずバビーはすごい上から彼女らを拒否してるとこが面白い。


30年前に世界で大ヒットした映画みたいだけど日本では上映されず、VHS化までで、DVDはなし。30年越しの上映まじでありがとうございます。意外とお客さんけっこう居たなあ。若い人も多かった。
間違いなく今年ベストの怪作であり大傑作でした。
瀬口航平

瀬口航平