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旅情の一人旅のレビュー・感想・評価

旅情(1955年製作の映画)
4.0
デヴィッド・リーン監督作。

ハイミスの秘書ジェーン(キャサリン・ヘプバーン)は、バカンスで訪れた水の都ベニスで中年紳士レナート(ロッサノ・ブラッツイ)と出会う・・・。

綺麗綺麗した生真面目な恋愛映画を想像してたけど、実際は違って良かった。
さすがはデヴィッド・リーン。退屈には決してさせない。
キャサリン・ヘプバーンはあまり(というか全然)タイプではないが、そのキャスティングが逆に生かされた物語だ。
もう決して若くはないジェーンは独身女性&寂しがり屋。
一人ぼっちのジェーンが、同じ宿泊先で出会った二組の夫婦や女家主をお誘いする姿が必死過ぎて痛々しくて、何だか可哀想だ。
しかし彼らはジェーンの必死の誘いを断り、それぞれ楽しそうにベニス観光へ出かけてしまう。
取り残されるジェーン。せっかくベニスに来たのに宿泊先のテラスで寂しく過ごすというもったいなさ。
しかし、サン・マルコ広場でのレナートとの出会いがジェーンの旅を一変させる。

ジェーンがクチナシの白い花びらを運河に落としてしまうシーンは、二人の未来を暗示しているようだ。
どことなく気掛かりで、何か印象的だったそのシーンがラストシーンへの伏線となっていたことに驚かされる。

P.S. サン・マルコ広場のカフェで、ジェーンは後ろに座るレナートと初めて出会う。その際ジェーンはレナートを二度見するわけだが、その表情があまりにも怖くて忘れられそうもない。ちょっと注目してみてください。
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