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わが谷は緑なりきのぉゅのレビュー・感想・評価

わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)
3.7
2021年 鑑賞 21-300-19
リチャード・レウェリン先生の小説「How Green Was My Valley」を原作に、「駅馬車」等のジョン・フォード監督による、19世紀末のイギリス・ウェールズ地方のある炭坑町を舞台に、男たちが皆働いているモーガン一家の人々を主人公にした、善意と誠実さを貫いて生きる人間の姿を描いたドラマ作品。
第14回アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞他、4部門を受賞した。また1990年米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

モーガン家の男たちは、末っ子のヒュー(ロディ・マクドウォールさん)を除いて皆炭坑夫であった。父ギルム(ドナルド・クリスプさん)を始め5人の兄たちが稼いだ賃金はいつも家の戸口で出迎える気丈な母ベス(サラ・オールグッドさん)のエプロンに置く。姉アンハード(モーリン・オハラさん)が湧かしたお湯で身体を洗い、食事につくのが日課である。そんな平穏な日々の中で長男が結婚、一家は幸せだった。披露宴の日、アンハードは新しく谷に赴任してきた牧師グリュフィード(ウォルター・ピジョンさん)と出逢い、互いに密かに惹かれあい...

ー ジョン・フォード監督作品集中鑑賞 第2弾 ー
モノクロ作品。台詞なし?ナレーションと、登場人物たちの歌のみ? いや、ナレーションと歌と、時々台詞だわ。

ナレーションは誰目線なのか?誰の回想なのか?誰中心のシーンで台詞があるか?で、早い段階で察しがつく。
炭鉱 = 田舎。小さな世界で自然以外は何もない。人と人との繋がりが良くも悪くも強く、建前付き合いの人も多い(はずだ)が、そこも描いて欲しいと思ったりして...

田舎で閉鎖的なのか、炭鉱って対立シーンも多く感じるのは、私だけ?

アンハード、グリュフィード、互いの気持ちをかき乱す、炭鉱主の息子と(政略の半強制の)アンハードとの結婚... アンハードの気持ちも、グリフィードの気持ちも見えているため、こちらが切なくなる...

ヒューの小学校入学。「炭坑夫の息子」でいじめられるの?世間知らずで晒し者のヒューは、戦士になり、それを打ち破っていく様は、彼の支えをしたくなること間違いなし!

兄の炭鉱での事故死から、ヒューは進学を諦め、炭坑夫となる。アンハードの出戻り、グリフィードの決意、そして...

炭鉱の栄華と衰退、家族の多さと家にいる数の少なさ、好きな男性と結ばれるのか?家族のため政略結婚か?、学問と肉体労働、成長と老化、生と死... 盛者必衰の世の中を丁寧に描いたこの作品のクライマックスは、絶望な状況でも光は刺すことを描いた作品。彼は「お前はもう一人前だ」をどう受け止めたのか?盛者必衰は衰者必盛にもなることを教わった!
是非新たな布陣となった●●には、経済の上昇、コロナ対策も期待しますが、“真面目に誠実に生きる人間が馬鹿を見る日本” にはしないで欲しいものですね。

余談:炭坑の建物や煙突から出る煙が、私の癖に刺さる!愛おしい!モノクロ作品も相まってか、凄くいい!妄想補完のやりやすさで、より刺さる!

1610
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