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ピンク・フロイド/ライブ・アット・ボンベイのDのレビュー・感想・評価

4.0
一つ前のボウイのレビューで、僕は孤独を肯定してくれる音楽が好きだと述べたが、ピンクフロイドのギタリスト、デヴィッドギルモアのギターと歌声もまた、孤独を肯定してくれる。

音楽の趣味が恐ろしく合う哲学者の友人がいる。
あまりにも音楽の趣味が合うし、音楽に対する感情の見出し方がさすがに上手いもんだから、普段ならキモがられるから出さない感想を彼に出してみた。同意への微かな希望を求めて。

「僕はピンクフロイドのギルモアのギターを初めて聴いた時に、音楽の持つ深い感情を知ったんです。ギルモアのギターって、すごく優しくて、切なくて、そしてエロいんですよ。彼の演奏は、なんというか、he’s like spooning with his guitar by stroking those sensitive and miserable stringsみたいな感じです(ここは日本語でうまく表現できなかったってか日本語にしたらダサかったから英語で書いた)。まるで泣きながら愛撫されてるような、そういうギターなんです。」

と言った。割とハイになりながら言ったと思う。

すると彼は
「それを聞いて、改めてShine On You Crazy Diamondをじっくりと聴きました。言葉の印象は拭えないが、泣きながら愛撫されるという比喩は、本当にハマってると思います。ギルモアのギターは僕が知ってるのとは少し違う女性でしたけど」
と言っていた。それ以来これを言うのが恥ずかしくなくなった。また一つ、孤独を肯定してくれる音楽のおかげで、僕の心の中から孤独が一つ肯定された気がする。

こういう、「経験したことはないのに感じる」というのは、ギターならではなんだと思う。ギターサウンドが古いみたいな扱いを受ける時代だが、ギターは死なないと思いたい。ロックの中でもっとも感情を持った楽器だと思う。
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