TAK44マグナム

スラッグスのTAK44マグナムのネタバレレビュー・内容・結末

スラッグス(1987年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

キモいナメクジ大量発生!


突然変異の肉食ナメクジが、酔っ払いや頭のかたい役人、そしてセックスにうつつをぬかすティーンエイジャー達を喰い殺す生物パニックホラー。

「ノストラダムスの大予言」では夢の島にデカいナメクジが発生したり、「ウルトラQ」では火星人の侵略兵器として巨大なナメゴンが送り込まれたり、風呂に入ろうとすると踏んじゃって嫌な気分にさせられたりする、傍迷惑な存在であるナメクジ。
そんな奴らが、捨てちゃいけないゴミを不法投棄していたツケで人食いナメクジに進化、アメリカの片田舎で大量発生しちゃいます。

ヌメヌメと黒光りした(なんだかこう書くとエロ小説に出てくるチ○コみたいですが)ナメクジたちが下水道を根城に、次々と人を襲いますよ!
メチャ凶暴で食欲旺盛なので、食べられた犠牲者は殆ど骸骨状態という有様。
しかも体内に吸血寄生虫がいるために、間違ってナメクジを料理して食べちゃったオジサンなんて脳みそを食い荒らされ、顔面から寄生虫がグチョグチョとこんにちわするというグロリンチョぶり!

さて、そんなナメクジの凶行に気づいた衛生局員が生物学者や下水道のプロと組んで活躍、ついには下水道で大爆発を起こし、町中を火の海にしてナメクジどもを一掃します!
完全にナメクジよりも被害が大きそうですが、そんなの気にせずに奥さんと抱き合ってハッピーエンドでございます!
・・・塩じゃ駄目だったのか?


こんなバカ映画を撮ったのは誰よ?と思ったら、「ブラッドピーセス/悪魔のチェーンソー」のファン・ピケール・シモン監督じゃありませんか。
さすが、本物のチェーンソー使って女優さんにオシッコ漏らさせたほど本物志向のシモン監督です、本作でもこだわりの「ナメクジは本物を使うに限る精神」を発揮しちゃってます!
なので、女優さんは真っ裸でナメクジが敷き詰められた床にダイブしなければならない羽目に!
この監督、絶対にサドでしょう!

そのくせ、目をみはるような鋭い演出なんてないし、無駄に細かく場面転換するのは意味がない。
(多少のテンポの良さには貢献しているかもしれませんが・・・)
シナリオにも工夫がなく、「ジョーズ」スタイルをまるまる踏襲。
利益のために耳を貸さない市長と主人公が対立するという、使い古されたドラマが展開します。
また、使われる音楽がテレビドラマっぽくてまるでスケールが感じられないし、必要ないところでもジャンジャカ鳴らされるので格好悪いです。
OP、EDの不気味な音楽は唯一良かったな。悲鳴入りって、やっぱりホラーぽくて良い。

しかし、総じてホラー描写は悪くないです。
温室で犠牲になる老夫婦のシークエンスとか好きですよ。
腕チョンパから〜の木っ端微塵!
まったく救いがない(汗)!


冒頭の、湖かどこかでボート遊びしているカップルが襲われる掴みの場面からして、ナメクジなのにサメやワニ映画みたいなシチュエーションにするのも、フリーダムなセンスでワケがわからない。
下水道を清掃したりしていたら襲われる・・・みたいな始まり方が無難だろうに。
でも、そのテキトーな所も嫌いじゃありません。

・・・とは言うものの、よく比べられる人食いゴカイ映画の「スクワーム」などよりも勢いに乏しく、そこまで面白くもないのも事実。あまり期待せずにテレビサイズの映画だと割り切っての鑑賞がちょうど良いと思います。


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