このレビューはネタバレを含みます
タイトルから、あの偉大なる名作へのオマージュ的な作品であろうことを予見しながら鑑賞しました。
申し訳ありませんが、結論から言うと案の定『東京物語』とは比べるべくもなく、凡作です。
中途半端なやっつけ仕事感があり、突っ込みどころが満載です。
冒頭からしばらくは、セリフ回しが原作に忠実すぎて、現代から見るといかんせん違和感を感じてしまいます。
妻夫木聡演じる次男(さすがに戦死という設定にはできなかったのでしょう…。)が登場するあたりからグダグダになってきて、後半はもう別物ですね。
公開時は、まだ東日本大震災から日が経っていないこともあり、家族の絆的なものが叫ばれていて、そのあたりからこの手の企画が持ち上がったのでしょうか。
付け焼き刃的に、震災ボランティアのことを持ち出されても、かえって陳腐さが目立ちます。
豪華ホテルでの、中国系の人達が登場するくだりも、ヘイト的なものを想像してしまい疑問が残ります。
俳優陣の演技力により、それなりに感情移入する場面もありますが、やはり『東京物語』はあの時代にできたからこその傑作なのでしょう。