TAK44マグナム

ザ・ウーマン 飼育された女のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.9
いいね?
パパの命令は絶対なんだ。


鬱ホラーの名手で、惜しくも亡くなわれたジャック・ケッチャムが原作及び脚本を手がけた食人ホラー。
原作は三部作で、リゾート地で食人族に襲われる「オフシーズン」、更に容赦なく人が喰われる「襲撃者の夜」に続くシリーズ完結編が「ザ・ウーマン」であります。
現代アメリカに人知れず暮らす食人族がいるっていう設定からしてオカシイでしょ(汗)

「襲撃者の夜」は映画化されており、本作はその続き。
何故か、第一作目の「オフシーズン」のみ映画化が頓挫してしまっているのが残念ですね。
一番グロく出来そうなのに。


食人族で唯一、生き残った「ウーマン」が川で水浴びをしていると、それを覗き見る者がいました。
弁護士のクリスです。
彼は森に狩りをしにきていたのですが、ウーマンのオッパイで頭がいっぱいになってしまいます。

クリスには家族があり、息子のブライアンや娘のペグを使って地下室をキレイにさせます。
クリスは森へ戻り、ウーマンの不意をついて捕まえました。

「この女を人間らしく調教する」
地下室で締め上げたウーマンを家族全員に見せ、高らかに宣言するクリス。
かくして、謎の女を「飼育」する日々が始まるのでしたが・・・


大前提として、このクリスというオヤジがメチャクチャ嫌な奴なんですね。
外面は良いんですけど、家族を完全に支配下においているんです。
日本のお父さんたちからすると憧れの「オヤジの星」に見えるかもしれませんが、その実態は、強いアメリカを体現したようなゴリゴリの男尊女卑精神の持ち主で、変態的なサディスト野郎だったりするのです。
要するに、たんなるサイコ!
男尊女卑なんで、基本的に息子には甘い。けれど自分の命令は絶対にきかせます。
そして、奥さんや娘には一見優しそうですが実際は厳しい。
奥さんのことは殆どメイド扱いだし、長女なんて○○○しちょりますよ。ドイヒー!
あと、末っ子にダーリンという可愛い女の子がいますが、さすがにこの娘には優しいみたい。
まあ、将来はどうなるか分からんですが・・・。

兎にも角にも、このサイコなオヤジのせいで、この家庭そのものがトチ狂っていることがだんだんと分かってきます。
そりゃそうです。法律家のくせして、野人とは言え人間を捕まえてきて飼育するっていうんだからクレイジーとしか思えません。

で、「ランボー」みたいに裸に高圧洗浄機で洗われたり、耳を銃で吹っ飛ばされたりと、「調教」を受け続けるウーマン。
ある夜などはクリスにレイプされ(奥さんはそれを知って激しく嫉妬)、その行為を目撃したブライアンにも襲われます。
しかし、屈服したとは見せかけで、彼女は虎視眈々と反撃のチャンスをうかがっていたのです。


後半、さすがに嫌になった奥さんが反旗をひるがえす段になって、いよいよ物語はカオスの様相を呈してきます。
ペグの身を心配して訪ねてきた幾何学の先生を殴り倒すクリス!
先生をどうするのかと思ったら、マジでびっくらこきましたよ!
そんなんアリ?な展開に目が点になっていると、ペグが更によく分からない行動にでます。
それによって状況が更にカオス化、ママンはウーマンの餌食に!
「けっ、不味っ!」と言わんばかりに投げ捨てられるママン!
なんという不憫さ!
でも、結局はこの人がクリスの暴走を止められなかったのがいけないような気もしますからね・・・

ついに食人鬼の本領を発揮するウーマンの前になすすべもないクリスとブライアン。
こいつら親子は最悪だったので、どなたでも何の同情心もわかないでしょう。
彼らがどんなドイヒーな目にあわされるのかは是非、観ていただきたいところ。
ですが、個人的にはもっともっとグチャグチャにしてやってほしかったですけれどね。
あれじゃ、まだまだ足り〜ん!

映画のスタートラインでは想像だにしなかったラストは、何となく嫌〜んな未来が垣間見えるようで、これはこれであまり先を考えたくない締め方でありました。

レイプリベンジ+カニバリズムという激辛要素を足して倍にしたような強烈な一作。
ウーマンが食人鬼だと分かっていれば前作未見でもOKなので、特に問題はないかと思います。
クライマックスまではグロさ控えめなので、いきなり弾けるゴアっぷりに少し注意してくださいね♪


Gyao!にて