黒澤明監督の「生きものの記録」を強く思い起こした。放射能に対する被害妄想的な感受性というか捉え方。そしてその見方を妄想だと決めつけてしまう感性のほうが果たしてまともな事なのかどうか。
今現在も放射能については人体への影響、特に遺伝子へのそれははっきりと分かってる部分のほうが少なく、まだまだ不明な点が多い。
それはともあれ杉野希妃と篠原ゆき子の演技が素晴らしい。家庭用のビデオで撮ったような私的にも感じられるカメラワークの中で、少しずつ「日常」を逸脱していく姿。そしてまた、自分にとって本当に大切なもの、それを命への愛着といって良いかもしれないが、そこに帰着していく姿。過剰な気持ちを内側から溢れ出させる演技には大きく心を揺さぶられた。