天豆てんまめ

つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

3.0
謎の女 艶 にまつわる一人の男と多数の女の物語。
終始、艶という女性は、謎に包まれているものの、彼女に翻弄され、
右往左往して人生を送ってきた男女の業をつらつら眺める。

行定勲監督はセカチュー以前から映像センスと脚本と演出の上手さに定評があったのだけど、ここ数年あまり快作が少ないように思える。この作品もタイトル通り艶を感じさせる映画であるものの、突き抜けない感じ。

ただただひたすら情けない阿部寛は観ていて飽きてくるし、
ヒステリックな小泉今日子と荻野目慶子のキャットファイトは
コメディのよう。

ただインパクトがあったのは、着流し男の岸谷五郎の変態風味と、
その愛人の野波麻帆の野性的な色気と美しいバックヌード。

物語は群像劇故に散漫になりつつ、最後、収束するわけでもないし、
「マグノリア」のように吃驚させてくれるわけでもないので、
雰囲気重視のこの映画に酔えるか、欠伸が出てしまうか、どちらか
になると思う。

似たような切り口に見える「ニシノユキヒコの恋と冒険」は川上弘美の小説は面白かったのだけど、映画はどうなのか、今度観てみようと思う。