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塀の中のジュリアス・シーザーのleylaのレビュー・感想・評価

3.9
刑務所で行われる演劇実習『ジュリアス・シーザー』に出演する囚人たちの稽古シーンを中心に映される。稽古はモノクロ、本番の舞台はカラーという構成。

重犯罪を犯した服役囚たちが実際に出演していて、素人とは思えない本物の俳優のようで見入った。

多くは『ジュリアス・シーザー』の台詞で成り立っているので退屈もするのだけど、どこからが稽古でどこからが現実なのか、ふとわからなくなる瞬間がありハッとする。役と本人がだんだん同化していく演出が見事。それを演じた囚人たちの演技が素晴らしい。

「芸術を知った時から
この監房は牢獄になった」

演技をしている時は誰も犯罪者に見えない。芸術の価値を伝える作品だった。

ほぼ刑務所内のシーンなのに、硬質でドラマチックなモノクロ映像はさすがです。刑務所、囚人という制約のある中で作ったということを考えるとなかなか凄い。タヴィアーニ兄弟ともに80歳すぎての作品て、かっこえぇ。
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