カオリ

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のカオリのレビュー・感想・評価

4.4
これは良い意味で騙された…ネズミー配信だし、あらすじとかパッと見て「トラと協力して生還する漂流ファンタジー?」(そのまんまw)と思って、寝る前に軽い気持ちで見始めたら…

”あ、意外とリアルというか、トラに乗ったり仲良かったりとかではないのね…
しかしやっぱり凄いファンタジーみもあるんだよなぁ…この違和感というか妙な共生感は何なのだ…!?”
で、最後にこの違和感の謎が解けて鳥肌がたちました…
なんと深みのあるファンタジーなのでしょう😭

ということで、個人的にこれは大好物なパターン✨

今作には、比喩と、前半には伏線が、モリモリに散りばめられていると思うのです。ぶっちゃけ見始めは「漂流するまで長いな〜」とか思っていましたが…w
途中で立ち寄った島が人型なのが気になって夜も眠れん…あれは何の比喩だったのか…
なんといってもパイ君はヒンドゥー教徒とキリスト教徒のハイブリッドでもあるので、宗教的な暗喩なんかもありそうです。

今作のベンガルトラの名前「リチャード・パーカー」でググるとまず出てくる事件…これをモチーフにしていると考えると…あぁぁっ😭辛!!

今作は、大人視点だとどこまででも深掘れる作品となっており、深層部には触れずに表面上のお話は子どもも楽しめるようになっている。
この作り方、凄いというか、単純に大好きw
二層とか螺旋とか大好きなので…

人類は、文字ができる以前から物語を作っていたといいます。

最後にパイが小説家に言った台詞…
「ハッピーエンドかどうかは君次第だ。君の物語だからね。」
これは視聴者に向けた言葉で、物語の真相は人それぞれの物語に変換されていくということ。
どう捉えるかで、悲惨な話にも勇気がもらえる話にも武勇伝にもなる。

ラストで、いかようにも解釈できる仕掛けが沢山散りばめられていたことに気付いて、うあー!!てなりました。

神話なんかもそうですが、実際に起こった歴史(真実)を土台として作られたお話というのは、リアルとファンタジーが融合し、ぶっ飛びながらも不思議な魅力があるものです。

思考停止でポケっと見れる系かと思っていたのに、ラストで物凄く考えさせられ…寝る前に観る作品にはあまり向いておらず…まんまと寝不足になりましたw
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