くわまんG

ジャッジ・ドレッドのくわまんGのレビュー・感想・評価

ジャッジ・ドレッド(2012年製作の映画)
3.0
「徹甲弾だ!」
――テッコウダンソウテンシマシタ
「ファイアー!」
ズギューン!ズギューン!

ダハハハ♪笑

みどころ:
ダサすぎて味のある衣装
マンションは楽しい戦場
ディストピアな世界観
案外グロい暴力描写
ヒロインが可愛い
続編を作るべき
テンポが悪い
抑揚に欠ける

あらすじ:
核戦争で世界はボロボロに。人類の居住区は壁で囲まれた狭い掃き溜め。最悪の治安をおさめようと日々奮闘しているのは“ジャッジ”。検察、弁護、陪審、判決、処刑を一人で行う法の万能ナイフ。
中でも優秀なジャッジのドレッドは、その日候補生カサンドラの卒業試験を任されることに。素点は低いがサイキック能力者で、採用か否か悩ましいところ。
試験会場は8万人が暮らす超超高層マンション。標的は極悪麻薬カルテルのボス。果たしてカサンドラは、生存だけでも至難のミッションをクリアし、ジャッジになることができるのか……。

暴力万歳な正義の味方(笑)による痛快な汚物消毒ショーかと思いきや、案外真面目に正義を考察していたのはよかったですねぇ。それだけに、二人の主人公がちゃんと着地せず終わるのが惜しかったです。

まずドレッドですが、このキャラクターのミソは「優秀な処刑人でありながら職務内容に疑問を感じている」ところだと思うんですよ。劇中設定の「罪人はエリートの独断で処刑される」という法を鵜呑みにしていると、ジャッジが正義を脅かしかねない存在となりうることに、彼は物語開始時点で気づいています。そして、終盤起こるイベントがまさにこの綻びを衝かれたものと来れば、それを機に考えを改めるか、あるいはカサンドラを守って死ぬか、はたまた闇落ちするか、大きく変化する局面がほしかったですね。

次いでカサンドラですが、やはり本作の主人公は彼女が相応しいと思うんですよ。幼くて青い反面、情け深さと強い正義感を兼ね備えており、ミュータント能力という“新人類の兆し”まで持ち合わせている、新世代の旗手然とした主人公キャラなんですから。序盤でドレッドの心に土足で踏み込む浅慮を見せたのだから、成長した終盤には彼の人生を動かすほどの影響を与えてほしかったですね。

心から「世界を救いたい」と言えるカサンドラが、“新たなジャッジ像”を模索するパイオニアとして覚醒した序章としてなら本作はよかったのですが、一話完結としては物足りなさを感じました。悪役もあまり骨がありませんでしたし。

それでも、小学生が考えたような設定(話しかけたら換装する銃)とか、スロモになるドラッグとか、カール・アーバンのへの字口とか、地味ながらグロめのアクションとか、頭悪い魅力が随所で光ってましたねぇ。ヒロインもかわいかったし、続編が待たれますな♪