ユースケ

ダイ・ハード/ラスト・デイのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

前作で失った限定された空間と時間が醸し出す緊張感を復活させる事はなく、罪のないロシア人をぶん殴り、「ロシア語なんか使うな!」と捨てゼリフを吐き、車を強奪するやたらと好戦的なジョン・マクレーンを描き、前作ですら守り続けたジョン・マクレーンのキャラクターをぶち壊した本作は、【ダイ・ハード 】と【ダイ・ハード3 】のテロに見せかけた強盗に巻き込まれる設定と【ダイ・ハード3】と【ダイ・ハード4.0】のバディもの設定という【ダイ・ハード】シリーズの残り香だけで作られた一本。ヨーロッパ・コープを思わせる大味なストーリーとド派手なアクション。もはやこれは【ダイ・ハード】ではない。

みどころであるはずの1100万ドル(約10億円)をかけて650台の車をぶっ壊したド派手なカーチェイスは、無駄に激しいカット割りのせいで車と車の距離感が描けず台無し、Mi-24戦闘ヘリコプター(NATOコードネーム:ハインド)が登場するホテルでのアクションも、無駄に激しいカット割りに加え、突然笑い出したり、突然天井のステンドグラスを撃ちまくったり、気の利かない【ダイ・ハード】へのオマージュで台無し。

とにかく、クライマックスのチェルノブイリでのラストバトルは色々な意味で完全にアウト。
チェルノブイリ原子力発電所事故と兵器用ウランの横流しの因果関係がわからないし、放射能で汚染されたチェルノブイリから放射能を中和する化合物27-4を使って回収した兵器用ウランを売るよりも放射能を中和する化合物27-4を素直に売った方が安全に確実に儲かると思うし、セバスチャン・コッホによるアラン・リックマンのパロディはムカつく上に後味が悪いし、ユーリヤ・スニギルによるMi-26戦闘ヘリコプター(NATOコードネーム:ヘイロー)のカミカゼアタックはマヌケな上に無駄死にだし、「髪の毛が抜けるくらいだよ」の放射能ギャグは不謹慎すぎて笑えないし、ツッコミどころは無限大。
そもそも、政治家チャガーリンの計画とCIAの計画と政治犯コマロフの計画がカオス状態な上にジョン・マクレーンは蚊帳の外状態。脚本書いた奴出てこいや。

とりあえず、黒いライダースーツの下に黒い下着を装着して登場した2012年の世界で最も美しい顔100人で46位に選ばれたユーリヤ・スニギルのチラリズムは要チェック。そんな事よりもメアリー・エリザベス・ウィンステッドをもっと綺麗に撮って欲しかったです。

アクションも、オマージュも、女優も、上手に撮れないジョン・ムーアを監督に選んだ時点で、いや、【ターミネーター:新起動/ジェニシス】と【スーサイド・スクワッド】のジェイ・コートニーを出演させた時点で本作の失敗は確定していたのかもしれません。

これまで「野沢那智か樋浦勉の吹替での鑑賞がオススメです。」と書いてきましたが、野沢那智の吹替を楽しむためには【ダイ・ハード4.0】以外【吹替の帝王】版を購入するしかありませんでしたが、本作からは野沢那智が亡くなってしまったためなのか樋浦勉の吹替も【吹替の帝王】版を購入しないと楽しめなくなってしまいました。
【Amazon.co.jp限定】ダイ・ハード 吹替の帝王コンプリート・ブルーレイBOX(初回生産限定)が16200円。吹替台本の復刻版なんていらないからもっと安いバージョンを出してくれ。「イピカイエー。くそったれ。」