平沢智萌xxxネタバレ気味注意

遺体 明日への十日間の平沢智萌xxxネタバレ気味注意のレビュー・感想・評価

遺体 明日への十日間(2012年製作の映画)
3.5
まず、震災を題材に映画にするには少々早すぎないか?と思った。
でもつまりはそれだけ一般の人の記憶の風化が早かったということか?とも思った。

それはさておき・・・
伊集院光だかが映画について語っていたことがある。
「人が死ぬのとかそりゃ見れば泣くに決まってるんだよ」
みたいなことを言っていてそれ以来、俺は
映像の中において「人の死や悲しみに対して泣くのは感動とは違う」
人なんだから泣いて当たり前のシーンだから泣くだけだと思うようになった。

・・・で、この映画はとにかく後半になればなるだけ泣きます。
泣かないわけがない。とてもやるせなくて心苦しくて泣く。
でもたかがこんな映画で作られた「死」で安易に泣いてしまうには
あまりにも偽善過ぎやしないだろうかと俺の中で葛藤が起こった。
泣いてしまうことがとても客観的であり他人事すぎやしないかと・・・。

映画で一般向けなので正直言うと
映像的にも脚本的にも震災の悲惨さなどは軽減されて作られている。
本来ならもっともっと酷い惨状であったろうと思うけれど
そこにリアリティを持たせられないのは致し方ないとしても
その「酷い惨状を軽減した映画」で「死」に対して泣くことは
やっぱり偽善的な涙でしかないのではないかと自問自答してしまう・・・。
(それでも涙しない人の方がどうかとも思わなくもないが(^_^;)

役者陣が全て素晴らしい実力派を揃えてきているので
とても細かい芝居で余すところなく伝えてくるので苦しい。
ただエキストラ指導、もうちょっとなんとかならんかったかなwww
エキストラさんが軽すぎる人が居て深刻さが半減されてるトコもあり;

西田さん最初からあざとすぎて・・・期待してたけどちょっと違う感じ;
泣く暇も悲しむ暇もないほどの状況にようやくその悲惨さが実感する時。
呆然としていた中、ようやく自分のやるべきことを見出した時。
それぞれ色々な思いがある中でご遺体に対しての思いやりを見せる・・・

一番圧巻・・・と言っていいのやら、凄いと思ったのは
坊さんが来てお経をあげてくれようとするシーン。
それまでの間ずっと息が詰まる感じで見ていたけど
日本人が、宗教問わずお経というものに対して持つ思いは凄いなと・・・
震える声でお経を上げていこうとする中
その場に居た人が全て手を止めて合掌をする。
誰に言われるでもなく、たぶん無意識に請うように合掌したんだと思う。
お経の力って凄いんだな・・・って、心から強く思った。

東京という安全な場所に居た俺が言うのはおこがましいが
それでもその当時、まだまだ安全な場所にいた俺が
現地の大変さを知れていたこと自体が幸せだったのだと
改めて気付かされた映画だったと思う。

あと、ラジオって大切だな。って思った!
この映画見た後、とりあえずウチのラジオ・・・って探して確認したもん;