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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのbluetokyoのレビュー・感想・評価

3.8
登場している要職に就いた人物が、とくにタージドソン将軍、あまりに幼稚でぶっ飛んでいるので、この映画で起きていることを、見ている人は、まったくの他人事として捉えてしまう。システムや組織はリアルだが、そこにいる人間はアンリアルなのである。

ストーリーは、アメリカがソビエトに核爆弾を投下する、というだけである。ドラマチックなことは何もない。ドラマチックというよりも、なるほど、そうなっているのか、という情報の方が大きいともいえる。

ことの発端は、リッパー准将が、R作戦なる指令を発動させるところからである。で、このR作戦というのが、くせものなのである。
その前に、長距離爆撃機、B52の空中給油の光景である。なんのために空中給油するのかというと、24時間飛行を続けるためである。なぜ、24時間飛行しているのかというと、攻撃命令があれば直ちに実行に移すためである。そういえば、原子力潜水艦、原子力空母なんてのも同じなんだろうな。

R作戦の質の悪さというのは、一度進みだしたら止まらないところである。たとえば、爆撃機との通信には暗号がかかる。事実上、通信不能である。解除するには、パスワードがなければならないが、そのパスワードを知っているのは、リッパー准将なのだ。命令を発した人間が、解除の方法を握っているのだ。
さらにリッパー准将のいるバープルソン基地では、200m以内の軍隊はすべて攻撃せよと命令が下されている。

ということを大統領は初めて知るのだ。大統領はソビエトの書記長へホットラインで電話。

ソビエトでは、核攻撃を受けると、自動的に報復の核攻撃を行うということだ。人類は滅んでしまうかもしれない。

ソビエトの方で爆撃機を撃墜したりする。だが、一機だけそのまま、ソビエト領内に侵入。水爆を投下してしまうのだ。

水爆を投下するまでの動作を事細かく表現するので、見ている側もハラハラしてしまう。だが、その動作は破滅を導く動作なのである。
まるで、その動作や一連のプロセスが、人類の運命とは無関係に思えてしまう。そこに気付くとハッとしてしまうというわけだ。
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