ヴェルヴェっちょ

東ベルリンから来た女のヴェルヴェっちょのレビュー・感想・評価

東ベルリンから来た女(2012年製作の映画)
4.0
この女性の神経質さ!圧倒されました。

1980年、東ドイツのバルト海沿岸にある小さな町の病院に、女医バルバラが赴任してくる。西ドイツへの移住申請を出したため、東ベルリンの大病院からこの地に左遷されてきたのだ。
そんな彼女に、医師ライザーは親切に接するが、彼女は邪険に反応するばかり。 バルバラは、西ベルリンに住む恋人ヨルクが用意した逃走資金を受け取って隠蔽し、西ドイツへの逃亡を企てていたため、常に神経を尖らせていた。
ある日、矯正収容施設から逃亡して藪の中に隠れていたため、髄膜炎を発症した少女ステラが搬送されてきた。ステラはバルバラにのみ心を開き、他の医師からの関わりを拒否する。 血清により回復し、ステラは収容所に直ちに送り返された。
病院で勤務していく中で、次第にライザーに惹かれていくバルバラ。恋人ヨルクとの狭間で彼女の心は揺れ動く。 バルバラが西ドイツに出国しようとした瞬間、再び逃亡してきたステラが彼女を訪ね、一緒にいてと叫ぶ。
西側での新生活か、医師としての責務か。決断の時が迫る…。

バルバラの視線が鋭すぎて、観ているこっちが「見られている」ような感覚にさえ陥る。 うわぁ、これはきついなと思った。
相手役のライザー医師は、対照的に優しくて、包容力たっぷり。それだけに一層彼女の神経質さが際立つ。
ただこの映画、不思議と目を離せない魅力があって、全く退屈しない。
最後の彼女の決断はもとより、感情の変化を表す細かな機微や、東ベルリンの町並みや歴史もよく表されている作品でした。