みんと

ローラのみんとのレビュー・感想・評価

ローラ(1981年製作の映画)
4.3
やはり、下敷きがあるとクセが和らいで観やすい!

ファスビンダー監督6作目鑑賞は、ハインリヒ・マン原作をスタンバーグ監督が映画化した『嘆きの天使』をリメイクした異色のメロドラマ。

第2次大戦から10年後、市場経済が急速に活気づく西ドイツのある都市に、新任の建設局長フォン・ボームがやって来る。彼は娼婦のローラに心を奪われるが、彼女は建設会社の経営者シュッケルトの愛人だった……。


いや~圧巻の映像美だった!
今作に関しては構図以上に色が冴え渡る!赤、青、黄、緑…人口光を使用したゴージャスで奇抜な撮影にファスビンダー監督の美意識が光ってた。とりわけローラをピンクにフォン・ボームをブルーに染めるコントラストなんてトリハダ。

また、娼館内も、娼婦ファッションも、歌唱シーンも…ゾクゾクするほど素敵。
魅入ってしまう。

突き抜けたアート作品は、往々にして途中で理解を放棄しがちだけど、原作が下敷き故にストーリーが解りやすいのも有り難い。

ともあれ、流石ファスビンダー監督。なまっちょろい描き方なんてしない。切れ味が鋭い!
結局、男も女もしたたか、そして、女は逞しい。
ドイツ成長期の精神的退廃を見事に映像化した作品だった。
ラストも巧いなぁ…

面白かった!
みんと

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