ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督が「ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の『嘆きの天使』(1930)を1950年代のドイツに置き換えて描いた映画」…だということで、昨日、『嘆きの天使』を再見したばかりだが、「社会的地位のある男が、場末の美女に惚れて…」というプロットだけは『嘆きの天使』から頂戴したもの。
但し、それ以外の物語は全くの別物で、結末も全然違う。
本作はBlu-ray鑑賞だったので付属ライナー「ファスビンダー『ローラ』を語る」を読むと、ファスビンダー監督いわく「オリジナル小説のストーリーをたいして面白いと思っておらず、第一次世界大戦の時代よりも1950年代のドイツを描きたかった。小説は1950年代ドイツを描くためには成立しないストーリーなので、まったく新たな物語を作った。だから小説はスタンバーグの映画化『嘆きの天使』とは全く関係ない独自の物語となった。建設局長―建設業者―娼婦がいて、そこから物語が生まれる……」といったことらしい。
(※)この記載は、かなり抜粋している。
Blu-rayジャケットに記載されている【不道徳か破滅か】は確かに物語の一端となっているが、物語は大雑把に記載すると、第二次世界大戦から10年経ち、経済復興の真っ只中の西ドイツが舞台。ある地方都市に新任の建築局長フォン・ボーム(アーミン・ミューラー=スタール)が着任したが、彼は一人の女性ローラ(バルバラ・スコヴァ)に心を奪われる。しかし、ローラは実は娼婦で、彼女は建設業者シュッカート(マリオ・アドルフ)の愛人=専属娼婦だった……というもの。
メロドラマらしいところもあるが、建築局長がローラを愛してしまって婚約してから「実は彼女は娼婦だった…」と知る流れの描き方は、観ているこちらにも衝撃的な感じがした。これは『嘆きの天使』とは全く異なっていて、局長がローラに惚れまくっていることが丁寧に描かれていた分、衝撃度が大きい⚡
そして、本作でやはり素晴らしかったのは、ローラを演じたバルバラ・スコヴァの美しさ。歌って踊る場面などは、映画を観ているこちらも見惚れてしまうほど綺麗……😍笑
また、舞台上のローラを映す照明は、部屋全体の照明を含めて、とても綺麗✨
照明係の苦心の賜物だと言えよう🌈
ファスビンダー監督が描いた西ドイツ三部作のひとつであるが、これは観終わって余韻が残る見事な佳作に見えた🎥✨