娘がBDを借りて来てくれたので一緒に鑑賞。ようやくキャッチアップ。
それにしても、いやあすごい。こいつはファンタジーじゃない。ものすごく現代的で、ものすごいリアリティで迫って来るのに、時代を超える力を持つ、まさにアニメの古典だ。ともかく、竹から生まれてすぐ大きくなるところなんて、ぼくらの経験そのものではないか。子どもは、あんなふうにポンポンと大きくなって、手からこぼれ落ちてゆくものなのだ。
そして人としての暮らしが始まる。そいつはいつの時代にも、本来的な生きる歓びからはどんどん遠ざかってゆく。そしていつの時代にも、ほとんどの人はそんな逸脱に気がつくことがない。それでも季節はめぐる。そこでぼくらは生きてゆくしかない。あらゆる命と同じように。だからこそ、高畑の手による『わらべ唄』はこんなふうに歌うわけだ。
「まわれ まわれ まわれよ 水車まわれ
まわって お日さん 呼んでこい」
わらべ唄はさらに続ける。
「鳥、虫、獣、草、木、花
咲いて実って散ったとて
生まれて育って死んだとて
風が吹き雨が降り水車まわり
せんぐりいのちがよみがえる
せんぐりいのちがよみがえる」
この東洋的な生命のリアリズムにいかにして命を吹き込むか。それが高畑がめざしたアニメーション(命を吹き込むこと)にほかならない。まさに生きとし生けるものへの讃歌。あのアッシジのフランチェスコの「被造物の讃歌」を思い出してしまった。