ちろる

アンナ・カレーニナのちろるのレビュー・感想・評価

アンナ・カレーニナ(2012年製作の映画)
3.6
不倫文学のベストセラーである作品の映画化。
愛が全て、感情が全てで押し通すアンナの姿に共感出来る人はごく僅かだろう。
しかしこの「アンナ カレーニナ」が世界中に愛され、何度も繰り返し映画や舞台の作品として残されているのはきっと、多くの人間が心の奥底で彼らのように、破壊するほどに激しすぎる愛に溺れてみたいという欲望があるからなのかもしれない。

結婚とは秩序と冷静さであると体現したような夫カレーニンと、情熱と華やかさを体現したようなアンナ。
対極とも言える夫婦の形が悲劇を生み、まるで神の采配のように激しすぎたアンナの運命は波乱に満ちていく。
カレーニンを演じたジュード ロウの清廉さはある意味人間らしいアンナを追い詰めていったのかもしれないのだが、カレーニンにラストまで花を持たせてあげた演出だったので心は救われた。
(アーロン テイラー演じるヴロンスキーのキャラはいまいち。)
登場人物が多くややこしくなりそうなかなり革新的で軽快な演出にしていた事は観やすかったけれど、ドロドロとした感情たちを簡略化しすぎているような点もいくつかある。
アンナがかつてどれだけ社交界での憧れの存在であったのか、後半に連れて病んでいく様子などを更に時間をかけて描いてもらえたら更に楽しめたのかもしれない。
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