毎日くたびれてます

私のオオカミ少年の毎日くたびれてますのレビュー・感想・評価

私のオオカミ少年(2012年製作の映画)
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異形生物と人間との交流は、昔から芸術作品でよく描かれるテーマ。フランケンシュタインとか人魚伝説、エレファントマン、オペラ座の怪人なんかもそれにあたるのかな。あと『ザ・フライ』あれはちょっと悲しい映画だったけど、ジェフ・ゴールドブラムがいい演技をしてましたよね。デビッド・クローネンバーグはあんまり好きじゃないんだけど。
あと最近では『シェイプ・オブ・ウォーター』とかね。あれはなかなかいい映画だったな。
人間と異形生物との愛、または交流といった話だから、どうしても話の流れとしては悲しい方に行っちゃうわけですね。まずハッピーエンドは望めないから。この「オオカミ…」もそういう流れから言うと、オーソドックスな悲劇ということになるんでしょうね、恐らく。
こういうテーマは、もう少し視野を広げると、例えば、障害者と健常者の恋愛とかね、そういう話にも当てはまってくると思うんですよ。被差別者と差別者の関係性の問題と言ってもいいかも知れませんね。『ビューティフル・ライフ』とか『パーフェクト・ワールド』みたいに車いすの障害者と健常者の恋愛なんか分かりやすいと思うんだけど、人種差別が酷かった時代の白人と黒人の交流や恋愛なんていう例も典型かも知れませんね。最近では『グリーンブック』もいい例だと思うんだけど、差別する側がね、差別される側の者を対等に受け容れるっていう行為がね、ただそれだけで素晴らしいわけなんですね。姿形が違うっていうだけで、自分とは相容れない異質のものというふうに、人間はどうしても見てしまう。そして次にはこの異質なものを排除しようという心理に変わっていくわけなんですけども、でもそういう環境の中にあって、誰かがね、「あれ?これちょっと違うんじゃね?」って思い始めるわけなんですね。その瞬間が美しいな、と。人間も捨てたもんじゃないなと。つまり自分の中にもそういう捨てたもんじゃない部分があるんだなっていうね。ホッとするというか、安心させてくれる映画ですよね、こういう映画は。ソン・ジュンギは相変わらず美しいお顔立ちでした。