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HK 変態仮面のVisorRobotのネタバレレビュー・内容・結末

HK 変態仮面(2013年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

序盤オモシロく、中盤つまらなく、終盤ややつまらなく、クライマックス面白かった。
それらを加点減点するとこの点数だなと思った。

オモシロかった部分とつまらない部分を分ける理由ははっきりしている「ちゃんと真剣に作ってるかどうか」だ。

序盤は物語の設定説明のため、クライマックスは物語の幕を閉じるためにある程度真面目に話を作って進めなければならない。パンティの糸でビル街を飛び回る明らかにスパイダーマンのパロディである変態仮面。正体を(特に一番好きな愛子ちゃんには)明かせない、自身の忌み嫌う変態の血が強さの源となっているギャップ、パンティを被らなければ強くなれないという制約。普通のヒーロー物語なら陳腐化した設定が「変態」という仮面をかぶせたことで新鮮に見れる。古き良き特撮ヒーローのような説明的なセリフも変態が妙に真剣だというおかしみを強調する効果があるので退屈にならない。
そこが良かった。

しかし、中盤、ムロツヨシの登場とともにスタッフはふざけ始める。学校の地上げのために狂介の所属する拳法部をぶちのめすムロツヨシ。まず地上げのために部活をつぶすという設定がふざけてしまっている。明らかに効率が悪いし学生として侵入する意味もない。原作がそうなんだから仕方ないとは思わない。適切に問題のあるストーリーラインを修正し一本の映画に収束させるのは打ち切り漫画を映画化するための基本だ。そもそもギャグマンガをストーリーラインのある映画にするんだから改変は当然のことだ。
最もひどいのが次々とムロツヨシが刺客を送り込んでくる様をダイジェストでお送りするところ。さわやか仮面もモーホー仮面(アルコアンドピース平子)も細マッチョ仮面(ラバーガール大水)も変態仮面の相手となるロジックが十分語られないので対決の結末に興味が持てないのだ。作りて自身も興味をなくしており、モーホー仮面に関しては倒したのかどうかも描かれないままだ。そしてもうちょっと時期が遅かったらモーホー仮面叩かれてたな。

安田顕演じるニセ変態仮面が出てきてからはやや面白みを取り戻す。変態仮面以上の変態性を持つニセ変態仮面。変態仮面のライバルとしてふさわしい、王道のライバル─自身の鏡像─である。しかし、ニセ変態仮面を倒すきっかけとなったのが「変態は強さと何の関係もない」という気づきだったのはいただけない。そもそもパンティを被ることで脳が覚醒して強くなるのが変態仮面ではなかったのか。じゃあなぜ狂介は強くなっていたんだ。描かれず(たぶん)倒されたモーホー仮面も浮かばれまい。

クライマックス、ショベルカーに乗ったムロツヨシと対決というのはバカバカしさも突き抜けていて、また「好きな愛子ちゃんのパンティを被ったから勝った」というのも変態仮面としてのロジックが通っており、納得できる。

多分続編ができるくらいに評価を得たのは最初と終わりが良かったから観客が「まあ、、、面白かった!」という結論で帰ることができたからだろう。
そして続編はヤバそう。
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