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ワールド・ウォーZのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

ワールド・ウォーZ(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ビッグバジェットで描く最新のゾンビもの。普通に楽しめた。

まるでゲームをプレイしているかのように、次々とステージが変わり、それぞれの場所で逃げ切って生存を目指す。ファーストステージは普通の街中でのチュートリアル。それから壁を超えて侵入してくるおびただしい量のゾンビ(圧巻!)、飛行機の中で増えていくゾンビ、そしてゾンビが徘徊する研究所に音を立てずにサンプルを取りに行くラストミッション…と本当にゲームっぽい。各ステージが特徴的で展開が速く、ゾンビ化まで驚きのたった12秒という設定、しかもゾンビの動きも超スピーディーなので、観ていてちっとも飽きることがない。

重要人物と思われた博士が足を滑らせて一瞬で死んだのはかなり呆気にとられた。あと壁の中で安全だからといって壁際でどんちゃん騒ぎしていたら、音が大きすぎてゾンビたちをおびき寄せていたのも間抜けで面白かった。女子供が全然足を引っ張らないのも良かった。あ、でも任務中の夫に自分からガンガン電話をかけるのは無いなぁ。着信音でめっちゃピンチになってるし。

主人公が妻子持ちだから変な恋愛展開とかが挟まることもなくてこれも観やすいポイントの一つ。ブラピが普通にめちゃくちゃ格好良かった。

主人公が最強すぎるのはこの手の話でありがちだから別にいいとしても、何と言うかコイツ、周りの人間に興味がなさすぎて主人公っぽくない。この状況だし周りを気にしている場合ではないというのは勿論わかるのだが、それにしても周りを犠牲にしたり見捨てたりして自分だけ助かることに何の迷いもない。苦渋の末にやむなく、とかでもなく、本当に何も気にしていない感じ。元国連調査官という特権で自分だけ救出されるのだが、その特別扱いに慣れきっている様子であり、どうにも感情移入しにくい。

というかこの映画、主人公に限らず"命"の扱いが薄すぎる。この辺も本当にゲームっぽい。ついさっきまで同じ"人間"だったのに、というのがゾンビものの醍醐味だと思うのだが、本作ではほとんどその要素が活用されることはなく、ただの走れるモンスターになってしまっている。両親がゾンビになってしまった少年ですら、あまりに平然としていて驚いた。

まぁでもゲームの主人公だと思えば全然気にはならないし、とにかく一本のゲームをプレイする感覚で楽しめる作品。ラストの、主人公の横をゾンビたちが通り過ぎていくシーンは爽快感がたまらない。ゾンビの皆もペプシを飲もう!
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