Jun潤

はじまりのみちのJun潤のレビュー・感想・評価

はじまりのみち(2013年製作の映画)
3.6
2021.05.13

こちらも戦時中が舞台の作品案件。
黒澤明と並んで日本映画の両雄と評される木下恵介の、戦時中の母とのエピソードを、クレヨンしんちゃん「オトナ帝国の逆襲」「アッパレ!戦国大合戦」の原恵一が監督・脚本で映像化。

空襲に備え、疎開先に病床に伏せる母をリヤカーで運ぶ木下恵介の姿を描く。
戦時中木下は「陸軍」のラストシーンにクレームをつけられ、次回作の企画をキャンセルされていた。
映画から離れようと決意した木下だったが、母との会話を経て、映画への復帰を果たす。

これはなんだか不思議な作品でしたね。
母をリヤカーで運ぶという突飛なエピソードの中で、映画を通して描かれる母の愛に感動しつつ、濱田岳演じる便利屋の行動一つ一つに笑わせてもらいました。

比較的短い尺の中で、ワンメッセージをゆるやかにしっかり伝えていましたね。

木下を演じた加瀬亮の行動一つ一つから母への愛情や捨てきれない映画制作への情熱が感じられましたし、
細かいところで背景にいる戦場帰りの青年や片足をなくした人、疎開していく子供たちなど、戦時中の生活や人の思いを感じられる仕掛けもありました。

個人的に便利屋の行動や言動がどこか役者的で、人名も出てこなかったので実はのちの名俳優だったのではと妄想が広がるのも◎。

ラストは戦後に木下が監督した作品が流れました。
時代が進むにつれ映像の進化やエピソードの多様化を感じられましたし、母の言葉を糧にこんなに多くの作品を制作したんだなと思うと感動的ですが、、長くね?
Jun潤

Jun潤