ゴン吉

ローン・レンジャーのゴン吉のレビュー・感想・評価

ローン・レンジャー(2013年製作の映画)
4.0
西部開拓時代に悪質な白人に立ち向かうマスクをしたヒーローの活躍を描いた痛快西部劇。 
ゴア・ヴァービンスキー監督作品。
アーミー・ハマーが主演、ジョニー・デップ、トム・ウィルキンソン、ヘレナ・ボナム=カーター、ウィリアム・フィクナー、ルース・ウィルソン、 ジェームズ・バッジ・デールらが共演。  

1869年、テキサス州コルビーで列車により護送中の極悪人ブッチ・キャベンディッシュ(ウィリアム・フィクナー)が、仲間の手引きにより脱走する。その場に居合わせた新任検事のジョン・リード(アーミー・ハマー)は、テキサス・レンジャーの兄(ジェームズ・バッジ・デール)たちと共にキャベンディッシュを追うが、逆にキャベンディッシュ一味に襲撃されて全滅してしまう。キャベンディッシュと一緒に列車で護送されてきた先住民のトント(ジョニー・デップ)が牢屋から脱出し、白馬の導きにより一命を取り留めたジョンを助ける。ジョンはマスクで顔を隠して白馬に乗り、トントとともにキャベンディッシュを逮捕するために旅立つ....   

「あんな男が法の代表者なら 無法者がいい」
「だからマスクが必要なのだ」
「善人がマスクをする そんな時代の話」
白人指導者がコマンチ居留区に大陸横断鉄道を走らすために、一方的にコマンチ族との協定を破棄し、さらに騎兵隊を騙してコマンチ族を襲撃させる。
本作でも極悪非道な白人による先住民族の大虐殺が描かれており、身勝手な白人にはいつも怒りを感じる。白人に殺されていく先住民たちが可哀そう。
当初は法による裁きを主張していた若き白人検事が、欲とエゴにまみれた悪質な白人たちに愛想を尽かし、白人たちに立ち向かう。たった一人のローン・レンジャーとしてマスクで正体を隠して白馬に跨り疾走する姿がカッコいい。
列車を使ったスピード感溢れるアクションも素晴らしく、ウィリアムテル序曲が作品を盛り上げる。
設定は異なるがメキシコのマスクヒーロー”怪傑ゾロ”のアメリカ版といったところ。
自称コマンチ族最後の悪霊ハンターがジョンとコンビを組んでコミカルを醸し出し、ジョニー・デップならではの捉えどころのないイカレタ先住民の悪霊ハンターの怪演が味わい深い。
西部開拓時代の理不尽で非人道的な白人ファーストによる先住民への裏切りと虐殺には心が痛む一方で、現代のアメリカにもあてはまるように思えてならない。
西部劇に馴染みのない人でも楽しめる痛快娯楽西部劇で、先住民問題も織り交ぜたメッセージ性も感じられるディズニーらしい楽しい作品です。
ラストシーンも秀逸で、現代の遊園地のアトラクション会場で、奇妙な先住民の老人と、白い帽子を被りマスクをしたガンマンスタイルの少年との会話が、現代のアメリカを風刺しているようで意味深です。
「ローン・レンジャーなんていない そうでしょう?」
「君しだいだ キモサベ」
「マスクをはずしちゃいけない」 

2025.3 テレ東で鑑賞(午後ロード・吹替:平田勝茂 訳)  
第34回ゴールデンラズベリー賞で最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞を受賞(2014年)
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