矢吹

まぼろしの市街戦の矢吹のレビュー・感想・評価

まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)
4.3
世界はシンプル。
永遠の三分間。死は怖くないんだからね。
外界は獣がいる。血に飢えた化け物がいる。
この世は男と女がいて、目を閉じれば、何も見えなくなるだけ。

めちゃくちゃ好き。いちいち、三択ぐらいの中から自分の好きな展開に確実に進んでくれる感覚だった。音楽も素敵さ。やはりこの世は劇場さ。

真夜中、12時の鐘を騎士が鳴らすまでの、街の空白。彼らにとっての本当の生活が始まる。
こりゃ、設定が良すぎるし、猿も良い。
終わりも見えるが、永遠も感じる、カーニバル。
日曜の夕方ぐらいのちょうど良い脱力と緊張感。

闘いへの対応は、お祭り騒ぎが正解。
車を乗り回す公爵たちもたまらない。
それぞれが街へ繰り出すもいい、役柄に戻っていくも良い。コメディでありつつ、シリアスな土台がちゃんとある。ドタバタ劇。筒井康隆の小説のようで、フェリーニの宴のようで。つまり最高。

おかしいのはみんな一緒さ。
でも、変な人たちね。
大切なことは、多分、自分に外と中があることをちゃんとわかってるってこと。かもね。
盲目的なのは誰なのか、知らないけどさ。

最も美しいのは窓から出かける旅なのです。
ルールはないのがルールです。ここから出ないのもルールです。
何もかも皮肉。世界へのシニック
遊びすぎたから、眠りましょう。
矢吹

矢吹