怨念大納言

ビジターの怨念大納言のネタバレレビュー・内容・結末

ビジター(2012年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

本作のみならず、悪魔のいけにえ、エスター、ミザリー、シックスセンス、ファニーゲーム、ゾンゲリア、ジェイコブズラダー、下妻物語、アレックス、サンセット大通り、屋敷女、パージ、正体不明ゼム、ドントブリーズ、サバイバルフィールド、キャビン、サプライズ、シャッターアイランド、ワナオトコ、マーターズのネタバレかまします。

原題は「static」。
邦題は「visitor」。

この程度でやりたい邦題のタグはあげられませんが、ビジターってタイトルは結構あるので検索がややこしくはあります。

ITの用語で「静的」と訳されたり、static electronで静電気なんて意味になるように、staticは静かとかつまんないとかそういう意味。その名の通り陰気で薄暗いシーンが多いですね。

冒頭、湖畔に2発の銃声が響き、男女が死んでいる。
この死んだ二人が主人公で、いずれ主人公が死ぬことがわかっている映画になります。

場面は生前に戻り、郊外の広い一軒家で小説家と奥さんが二人で暮らす。

一年前、子供が池で溺死したらしく非常に陰気。

そこへ、レイチェルと名乗る女性が来訪。
誰かに追われているらしい。
あの奥さん&レイチェル、美人なのになんか暗い。
特に奥さん。

そこへ、レイチェルが死んだ息子の事に触れまくるもんだから鬼のように気まずい。

最初、レイチェルの立ち位置は「悪魔のいけにえ」のお兄ちゃんかなと思ってたんですよ。
真打ち登場までの前座で、物語に不穏な空気を充満させる役割。
が、夫にまで息子の話をしたり泊まると言い出したりシャワー浴びて夫婦をギクシャクさせたり、この女「ファニーゲーム」なんじゃないかと。いや、アル中気味の妻との組み合わせは寧ろ「エスター」ですかね。夫婦の会話を盗み聞きするような伏線も張られます。
途中、妻から「ミザリー」説も浮上。一軒家の小説家、確かにまんまです。

とか思っていると家が停電し、ガスマスク三人組登場でレイチェル拉致!
ガスマスク!イカす!
ついでにツルハシ持ってきてもいいんだよ!

ホントは、過去の名作と比べながら鑑賞するのってよくはないんですけどね。
ラスト3分で覆るとか、どんでん返しとか言われると色んな映画を想像しながら見てしまいます。

冒頭に二人は死んでいる訳で、このパターンは大きく3つ、①二人は幽霊(またはゾンビ)②二人は意外な(または劇的な)死に方をする③実は死んでない。

①に関しては、幽霊なら「シックスセンス」、ゾンビなら「ゾンゲリア」で予習済み。ただ、ゾンビな訳はないし、シックスセンスのあのオチは有名過ぎて今さらパクらないでしょう。②なら例えば「サンセット大通り」「アレックス」みたいな映画がそうで、いずれ殺されることのわかった主人公の物語というのはどうしようもない陰惨さが漂う。変わり種ならば「ジェイコブズラダー」で、走馬灯パターン。②は十分あり得るかも。③は「下妻物語」のパターンですけど、この映画でコレやられたら暴動もんです。ドタバタコメディだから許したんです。

そもそも池で子供が溺死と言われて「13日の金曜日」を連想しない人はいないでしょうし、ガスマスクを見れば誰でも「血のバレンタイン」を思いだします。
流石に、湖で死んだ息子がホッケーマスク装備して復讐には来ないでしょうが。

家侵入モノも名作の宝庫で、壮絶な女VS女と言えば「屋敷女」。イカれ女と一時共闘する胸アツ展開アリ。レイチェルと奥さんが共闘?するか?「サプライズ」なんかは被害者側が異様に強いというサプライズホラー。この夫婦に限ってそんな事はなかろう。それから「パージ」はご近所の嫉妬で一家惨殺を画策される可哀想ホラーで、「正体不明ゼム」は子供に襲われる理不尽ホラー。一応、ご近所の子供というワードが序盤に出たので双方あり得るのか、一応。近年、停電&ホラーと言えば「ドントブリーズ」。ガスマスクの複数半が盲目という事はないでしょう。それから「ハイテンション」。心神喪失状態の妻なら、このハイテンションパターンのオチはあり得るのでは?部分妄想の「ハイテンション」に対して、全部妄想の「シャッターアイランド」パターンもあり得る。ガラスを踏んだ所で「ワナオトコ」パターンも浮かんだものの、そんな特殊な映画ではないでしょう。あ、「マーターズ」の宗教の儀式の為に拷問されたパターン。あれも斬新で、本作の陰気な雰囲気とも合ってる。けど、あんな陰惨な映画だろうか?

とか色々考えているうちに定番のエンストボロ車からのガスマスク一人撃退。中身はレイチェル!
&部屋を監視されていた事も発覚!
あ、「サバイバルフィールド」?
ガスマスクもしてるし!サバイバルフィールド落ち?

いやいや、サバイバルフィールドと思わせての大大大どんでん返しのパターンを「キャビン」がやった上で、今さらサバイバルフィールドもなかろう。

レイチェルが犯人の一味だった以上「パージ」「正体不明ゼム」は削除!
子供や隣人と見ず知らずのレイチェルは一味ではないハズ。
で、レイチェル自身に秘密がある「ミザリー」「エスター」もあり得ん!
というか、正当な侵入モノなのか?

妄想or幽霊エンドなんじゃなかろうか。
いや、けど夫婦揃って幽霊ってあり得る?
強盗と格闘したりガラスで足ケガしたりしてるし。
あ、けどエンストは幽霊オチっぽい。
あとは、夫の単独行動も不自然に多いんですよね。
この辺は下手くそなホラーにはありがちなんですけど、狙いがあるのかも…。

とか色々思案してたらあれよあれよと泉のシーン。
犯人一味VS夫!
奥さんは人質!

この飛躍は不自然!
やっぱ侵入モノじゃない!

一人の死人も出ていない以上「ハイテンション」は不自然。「ジェイコブズラダー」の手法を取るほどドラマチックな戦闘もなし!「シャッターアイランド」説濃厚!お前の妄想オチだろ!

あ、なんか、あ、そういう感じ?
結果、幽霊オチでした!
ただの幽霊オチではなく、レイチェルは霊能力者で夫婦を徐霊しにきたという設定。

やられましたわ。
私の負けです。

これ、結構斬新だと思うんですよね。
徐霊を幽霊側から描くという点は素晴らしいアイデア。
霊媒師軍団が、侵入者に見えるのもナイス。幽霊目線ならそうですよね(笑)

確かに丁寧さに欠く演出は多数あったけれど、これシャッターアイランドやシックスセンスばりに丁寧に演出してたらとんでもない映画でしたよ。

というか、色々考え過ぎて集中していない気がする…。楽しかったけども。

もう一回見ようかな…。
怨念大納言

怨念大納言