Inagaquilala

エンド・オブ・ザ・ワールド 地球最後の日、恋に落ちるのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

4.0
「シンクロナイズドモンスター」のナチョ・ビガロンド監督が2011年に母国スペインで製作した作品。脚本も同じく彼自身が手がけている。「シンクロナイズドモンスター」では、韓国のソウルに出現した怪獣がアメリカの田舎町に住む負け組女性の動きにシンクロするというとんでもない設定を考え出したナチョ・ビガロング監督、この作品でもその奇想は健在で、ある朝、目を覚ますと主人公は見知らぬ女性の部屋のベッドにいて、しかも窓の外には空を覆う巨大な空飛ぶ円盤が襲来しているという、いきなりシュールな展開を用意している。窓から見おろすと街路に人影はなく、電話は通じず、完全に女性とこの世界に残されたという初期設定。そこからいろいろ闖入者があり、物語は意外な方向に展開していくが、とにかく奇抜な設定で、ダイナミックに物語に引き込んでいくナチョ・ビガロンド監督の剛腕はこの作品でも健在だ。

しかも邦題はかなりネタバレだが、その空飛ぶ円盤騒動に、男女の恋愛が絡むので、これがとてもあるあるという感じでおかしく、その恋の鞘当ての行方に目が離せなくなる。主要な登場人物はたった4名なのだが、それぞれのキャラクター設定もしっかりしており、滑稽でねちっこいドラマが続く。途中で、どうやら宇宙人がすでにマドリードの街に入り込んでいるという話へと展開していくのだが、この「犯人探し」も二転三転して面白い。最後には意外な結末も用意されており、かなり楽しめる作品だ。次はどんな奇想で驚かせてくれるのか、ナチョ・ビガロンド監督の次回作には目が離せない。
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