トッシー

狂武蔵のトッシーのレビュー・感想・評価

狂武蔵(2020年製作の映画)
4.0
宮本武蔵 VS 吉岡一門
1人 VS 400人
驚異の77分ワンカット アクション!
坂口拓がひたすら斬りまくる!
斬って斬って斬りまくる!

狂武蔵(くるいむさし)見参!

園子温 監督で製作される映画が
様々な事情で中止となり、
それでもスタッフを残し、
心意気で撮り切った77分ワンカット。

『キングダム』の繋がりから
山﨑賢人らも参加した
追加撮影を経て、
お蔵入りから9年振りの大公開!!!

リアルなアクションを追及する坂口拓…
「お前らマジでこい!ど頭でも目でも
喉でも狙ってこい、手を抜いた刀が
来たら逆に俺がマジで殺してやる!」

ワンカット撮影前に
鬼のように圧をかけたら、
開始5分で指の骨が折れ、
肋骨も2本いっちゃって、
食いしばっていた奥歯は撮影後
サラサラと崩れたとか…

当てることも厭わず、
リアルを追及し、ギリギリを攻めた
狂気のワンカット77分ですね。

現代忍者、ウェイブマスター、
YouTuberとしても活躍する坂口拓。
やっぱり幻想あるのよ…
大好きなんです… たまらん…

77分ワンカットアクションが
全てなんで、ストーリーは
ほとんどないです。

そのワンカットもね、
当然カット割りを活かした
スピーディーな演出や、
ワイヤーアクションもないですよ。

『キングダム』や『RE:BORN』
のようなケレン味溢れるかっこよさは
本当ないのよね。

斬られ役も、同じ人が何回も何回も
ローテンションする循環型。
予算、なかったんでしょうね。

『1917』の完成されたワンカット風を
観た後だと確かに荒いし、最初は
緊張感はあるけどこの単調な感じが
77分も続くのかと心配になった。

しかし、最後の方はね…

スタミナ切れとダメージで
ヘロヘロになる中でも
ひたすら斬りまくる坂口拓と、

それに応じるように熱を帯びる
カメラワーク。

鬼気迫るほどやばくなっていく
坂口拓の表情。

………もうドキュメント映画でした。

およそ、一般層には響かないだろう
企画に命をかけて、よく分からんけど
映画界の面倒臭い諸々に真っ向から
立ち向かった、俳優とスタッフ達の
怒りと心意気のドキュメント…

やってやるよ!
ぶっ壊してやるよ!

何だか胸が熱くなったよね。

お薦めはあんまりできません。
上映終了後、後ろの爺さんが、

「つまらんーーー!!!」

と叫んで出ていきました。
狂観客です。ちょっとビビった。

確かにね、エンタメとしてはちょっと
マニアックすぎるとも思います。

普通に宮本武蔵アクションを観たいと
思ってたら全然違うもん、
爺さんの気持ちも分かる。

しかし、坂口拓が好きな人や
ぶっ壊したい現実に
もがき、苦しんでる人には、

もしかしたら響くかもしれません。

そんな狂った魅力のある
やばくて歪な映画でございました。

出番少ないながら、山﨑賢人も
良い味を出していたと思いますよ!



アクション単調と言いましたが、
時々現れる中ボスとか、
サブキャラの小芝居とか、
飽きない工夫もされてます。

ちょくちょく挟まれる
休憩タイムでの水分補給とか、
アドリブか台詞か知らんけど、
「しんどいな… 」とか言っちゃう
坂口拓こと狂武蔵が
微笑ましくて好きでした。

そして、77分で
588人斬ってるらしいです。

400人超えとるがな。
後188人はよ? 心霊か?
ドッペルゲンガーか?
吉岡のスタンド能力か?

いや、坂口拓の狂気が産み出した
リアルな幻影ですね。きっと。

まさしく狂武蔵………
トッシー

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