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メイジーの瞳のHIROのレビュー・感想・評価

メイジーの瞳(2012年製作の映画)
4.3
離婚した両親の家を10日ごとに行き来することになったNYに住む6歳のメイジー(オナタ・アプリール)。
ところが父ビール(スティーヴ・クーガン)はベビーシッターで再婚相手でもあるマーゴ(ジョアンナ・バンダーハム)に、母スザンナ(ジュリアン・ムーア)はバーテンダーの再婚相手リンカーン(アレキサンダー・スカルスガルド)にメイジーを預けるようになり...というお話。

とてもやるせない気持ちになりましたね。

メイジーはとても良い子。
両親からひどい仕打ちを受けているはずなのに、両親の顔が見えると一目散に走って行く。
やっぱり子供ってどんなことがあっても親が好きなんですよね。
それなのにメイジーの両親はとても自分勝手で。表向きはメイジーのためだと言わんばかりに行動しているけど、それって結局親のエゴなんじゃないのかと。

仕事があるからと次々とたらい回しにされるメイジーは観ていて本当に辛かったです。
でもメイジーは絶対に弱音を吐かなくて。本当は思いっきり甘えたいんだろうけど、なんて言うか、メイジーの表情からは親に対してとても気を遣っていることが伺えるんですよね。
自分がいると親は迷惑なんじゃないか、自分なんていない方がいいんじゃないか、そういう風に思っているように感じるんですよね。
子供にこういうことを思わせるのは絶対にダメだと思います。

ベビーシッターであり、父ビールの再婚相手であるマーゴと母スザンナの再婚相手のリンカーン。
彼らもまた傷付いているというか。
マーゴはビールにいつも利用されていると泣き崩れ、リンカーンはいつもスザンナに怒鳴り散らされている。
そんな2人とメイジーが触れ合う姿はまるで本当の親子のようでした。
それこそ始めは押し付けられたからメイジーの世話をしていたに過ぎなかったのかもしれないけど、次第に普通ではない情が湧いているのが感じ取れるというか。
3人で過ごしている時が一番いい笑顔なんですよね。
この3人は血の繋がっていない赤の他人。
でもお互いに頼られ必要とされているということは本当の親子以上の絆が生まれるのかもしれないですね。
メイジーの存在がマーゴとリンカーンを元気付けているようにも見えました。
おかしな関係に見えるけど、束の間の幸せかもしれないけど、これこそあるべき姿なのかもしれない。
触れたら壊れてしまいそうな繊細な関係のようだけど、確かな愛情を感じることができました。

ずっと孤独だったメイジーがやっと見つけた居場所。
遠くに浮かぶボートに向かって走るメイジーの姿を見ると、彼女がこれから先どこに向かって行くのかを考えてしまう。
メイジーにはずっとこのままで居て欲しいけど、もちろんこんな生活がいつまでも続くとは思わない。
メイジーのように親の愛情を受けられずに孤独に暮らしている子供達は沢山いると思う。
親としての責任を果たそうとしない大人のせいで何も出来ずに不幸な末路を辿ってしまう子供達がどれだけいることなんだろうかと考えてしまう作品でした。



2015-57
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