時代とはいえ、見ず知らずの料理方の家に嫁ぎ、夫に疎まれても自らに課された務めと受け入れて料理の指南から身の世話までを行い、夫を大事にしたい強い思いから大胆な行動にまで出る春の甲斐甲斐しい姿に痛み入る思い。現代日本ではもう見られない光景だろう。
自分の好きな人と結婚出来る訳でもない時代にあって、特に女性は夫を立てるのが第一として我慢が基本だったように思う。
それでも時間をかけて心が通じ合ようになり、夫の心もかつての想い人から次第に春への愛情に傾いていく様子に心が洗われた。
日本料理の奥深さにも改めて気付かされる。たまには贅沢して料亭で非日常の味わいに舌鼓を打ちたい思いに駆られる。
