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私の男のdeenityのネタバレレビュー・内容・結末

私の男(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ずっと気になってた作品。結構な濡れ場があるとは聞いてましたが二階堂ふみちゃんまで濡れ場をやるとは…。演技派とは言え何でもこなしますね。ファンとしては複雑な心境でした。

そんな本作は浅野忠信と二階堂ふみが北海道での震災により突然親娘になるという設定。「お前は俺のだ」という淳悟はどことなく花のことを可愛がりそうな雰囲気があり、また花も不安ながらもどことなく心を許したような感じがする。そんな新しい家族のスタート…というような朗らかなストーリーではないのが本作。
家族愛かと思ってた愛は徐々に男女の愛へと姿を変えていきます。突如淳悟の指をしゃぶり始めたり道端で「キスして」と迫ってきたり、危ないムードが満載の二人でしたが等々濡れ場が来ましたね。ふみちゃんはもちろん色っぽいんですが、あの血の雨は何なのだろう。初夜という訳ではないだろうし、後の血の繋がりの発覚か、はたまた別の意味が、と考えを巡らせましたがわからず。とりあえず意図してなくてもその行為の重みは伝わってきますね。

結局この二人の関係性は「俺の女」ではなく、タイトル通りの「私の男」だと思う。
二人はある意味駆け出しのカップル。淳悟の根本にあったのは間違いなく「家族が欲しい」という感情かもしれないが、それがどういうことか、その術はわからない。初めて家族を持とうとする=大切にする、なのかもしれない。花は大切にされる側。家族は今までいたわけで、突然現れた男を父と認めるのは難があるだろう。だから彼らは「家族」という形を求めるがあまり方向性を見失ったカップルに見える。家族という認識はあったかもしれない。しかし、それは歪んだ愛の形。

終盤に入り徐々に二人が時間を経て大人になる。少しずつズレが生じて相手が何を考えているのかわからなくなる。家族としての崩壊。
それでも互いを知り合った過去は変わらない。二人にあったのは家族愛ではなかったかもしれないけど、間違いなく別の愛の形はあった。だから男が来る度に「お前には無理だ」なんて台詞を吐く。一番わかってるのは俺なんだ、って。
でもそもそもこの作品のタイトルは『私の男』。コントロールしてきたように思っていたとしても実際に手綱を握っていたのは花の方だった。それを象徴するかのようなラストシーン。濡れ場でのふみちゃんも魅力的だったが、ラストシーンでの妖艶な表現をしたふみちゃんほど今作で魅力的なシーンはない。
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