ユースケ

エリジウムのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

エリジウム(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

エリジウムとは…ギリシア神話に登場する死後の楽園エリュシオンのラテン語読み。世界の西の果て、冥界の審判官を務めるラダマンテュスが支配する神々に愛された英雄たちの魂が暮らすとされている世界。

医療技術の発達によって不老不死を手に入れ、荒廃した地上を離れ、スペースコロニー・エリジウムに移り住んだ人類。しかし、それを許されたのはひと握りの超富裕層のみ、地上に残された多くの人々は手を伸ばせば届きそうで決して辿り着くことはできないエリジウムをただ見上げ続けるだけだった…

現実の世界で起っている格差社会の問題を地上と宇宙、ディストピアとユートピアに二極化した近未来の世界として描いたSFアクション映画。きっかけは、ニール・ブロムカンプ監督がメキシコで誘拐されかけた時に見た、ティフアナのスラム街からサンディエゴの高級住宅街を見下ろした景色だったそうです。最新の医療を受けるためにエリジウムへ不法入国をする人々の姿からは、不法入国や医療格差の問題を感じずにはいられません。

テーマが深めで小難しい映画になりそうですが、実際に描かれるのは強化外骨格エクソ・スーツを直接肉体にねじ込んだ忍者同士の殺し合い。日本刀を背負い、手裏剣を放ち、ビームシールドで弾丸を弾く。シャールト・コプリー演じるエージェント・クルーガ―の忍者っぷりが素晴らしい。桜舞い散る渡り廊下でのマット・デイモンとの一騎打ちは必見です。

更に、改造した骨董品のアサルトライフルAK-47から最新のエアバースト弾BM3дを撃ち出す描写や四連装地対宇宙ミサイルランチャーで地上から宇宙の機体を撃ち落とす描写など、温故知新なデザインのガジェットに萌え萌え。
【ブレードランナー】でスピナーをデザインした工業デザイナーのシド・ミードがコンセプトデザインに協力したエリジウムのデザインも秀逸です。