Stroszek

エリジウムのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

エリジウム(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

違法移民、地域格差、貧困層の劣悪な労働環境など、現実に起こっている問題をカバーする社会派SF。たぶん移民問題が切実な国の方がヒットするだろう。ジョディ・フォスターがエリジウムのセキュリティ部門のトップみたいな役で出ているのだが、移民を閉め出し自分たちだけで富を享受するために構築したシステムに使われるハイテク装置のまわりに典雅なお花を飾っているところに、中流階級の偽善性が出てる。グラフィティでぐじゃぐじゃに彩られた地上の機械との対比が鮮やか。マックスの最後の決断は、世界の均衡を取り戻すための自己犠牲という意味で、『オブリビオン』のジャックを思い出させる。しかしトム・クルーズは殺しても何度でも笑顔で蘇ってきそうな強靭さがあるのに対し、マット・デイモンのマックスにはここで終わりという悲壮感がある。尼僧が彼に言う“I know you are special.”という台詞が最初と最後に繰り返される。人を特別な存在にするのはその人の行動であり、生まれ持った財産ではないというメッセージを、壮絶な方法で伝える映画だ。
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