皿鉢小鉢てんりしんり

攻撃の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

攻撃(1956年製作の映画)
3.7
相変わらず50年代にとんでもない映画撮る“職人監督”がいたものだ……
リーマーヴィンの絶妙な役どころとか、『戦争のはらわた』のブラント大佐に通ずるものがある。無能な上官より遥かに優秀だが、結局組織としての体裁を保つ権力でしかない。
エディ・アルバートは徹底的に醜く描かれるが、ベッドで泣きじゃくるシーンは、かなり同情的に思える観客も多いんじゃなかろうか。
「俺は男になれと言われて親父に何度も殴られた。それに耐えてえればいつか男になれると思って耐え続けた。でも30になる時に分かった、“いつか”なんて俺には永遠に来ないということが」
これが50年代ハリウッドの痛快娯楽映画(であることを市場的に期待されている映画)の悪役のセリフっていうのは、凄まじいことだと思う。
若造が見張りをするんだが、こちらを向いてる時に画面奥に戦車が動いてて、普通に見逃してるのがすごい。その後戦車があるのかどうかが重要になってくる。
ジャック・パランスが若造の胸を殴ってしまったことで、肺にダメージがあり砲撃から逃げられず死ぬ。“敵は味方の中にいる”というコンセプトは、エディ・アルバートだけでなく主役のパランスにも降りかかるように構成されていて、アルドリッチって、分かりやすい反骨精神と同時にそういうとこかなりフェアだよなぁ、と思った。