ヒロシ

ラッシュ/プライドと友情のヒロシのレビュー・感想・評価

ラッシュ/プライドと友情(2013年製作の映画)
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最初に断っておく、これは映画のレビューではない。ただ自分の為にこの映画に対して記録しておく。

今日また仲間が減った。
唯一の同期であり、最初の映像チームの最後のメンバーであった。

奴は「自分のことなんてすぐにみんな忘れる」、と言っていたがそんなこと有りえないのだ。
特に私は、死ぬまで忘れないだろうと思う。
4年も一緒に居たんだ、歴代のお付き合いさせていただいた女性より長い。
彼女以上、家族未満。うーむ…奴が聞いたら吹き出すだろう。

私も転職組みで、自分がいつどういう選択をするかは個人の自由だと思うが、奴に関してはもっと色々できたんじゃないかと未だに思う。

その昔、もめた。
大したことではないのだろうが、奴も私も怒っていた。
それ以来、3年以上もろくに口をきいていなかった。
同じチームで、部下がいる中でそれはとても危険であった。
せめて奴に合わせて動けばバラバラにはなるまいと繕ってはきたが…

奴とは会議ですれ違いお互いに敵意をむき出しにしてしまったこともある。
私が職場でネガティブな感情を出したのは、奴と、昔の上司のたった2人だ。
でも2人とも、何か良い方向に向かう方法が他に有った気がしてならない。
ただ、その方法がわからなかった。
自分で動ける事はすべてやったはずだった。
上司や部下、他のセクションの人間まで使ってやってはみたが、
うまくいかなかった。

私がコミュニケーションをとろうとすればするほど、奴は避けていった。
では引いてみよう、と思って引いたら不満があるらしいと遠回しに聞いた。

結果、我々はうまくいかなかった。
彼の求める働き方を推奨しつつ、チームビルドしていたはずだったが…
どこで見落としたのだろうか。
私が仕事を抱えすぎ、奴の兆候を見逃してしまったのか。

何にせよ、彼はもう居ない。
明日、オフィスのドアから不愛想に入ってくることも、
毎週金曜の会議で顔を合わせることも、もうない。
月朝の朝礼も、経営陣とのヒアリングにも、彼はいない。
そこには私だけだ。


コミュニケーションを取らないからそう見えたのかはわからないが、私が父以外で仕事へのストイックさを認めるのは彼だけだろう。
私の徹夜に負けじと何夜も付き合ってくれたのも彼だった。

辞めていった先輩や上司たちも、二人で見てきた。
同じ立場で息をして、同じ立場で今のチームを見てきた。

私たちの部下への指導方法は100%反対方向だ。
でもその成果か、今の部下はみんな良い子だ。
恐らく両方の良いところを学んでくれているだろう。
誰も辞めず、素直なやつばかりだ。
彼の功績は大きい、存在は大きい。
次は私の責任だ。

お互いに意思疎通は全く出来ていなかったが、
お互いどんな奴か理解はしていたように思える。

昔、まだ私たちの仲が良かった頃に映画に誘われたことがある。
たまたま予定がありいけなかったが、今でもタイトルを覚えている。

「RUSH」

観たことが無い。
でも今でもこのタイトルを見ると彼を思う。
たぶん観ることは無い、でも忘れることも無い。
観ないから中身を楽しみにできるし、
彼が何を考えて私を誘ったのか想像することができる。
それだけで十分だ。

いつか彼と酒が飲みたい。
そのときは彼も私も、面倒なことは全て忘れて、
朝まで付き合っていただきたい。
ヒロシ

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