いののん

オンリー・ゴッドのいののんのレビュー・感想・評価

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)
4.5
『Drive』以来、ずっと観たいと思っていた作品。だけど、予告篇が怖かったから、観るのは無理だなと思っていた作品。でも『THE THING』だって『エイリアン』だって観ることができるようになったんだからと、思い切って挑戦しました。結果、『エイリアン』はもう数えられないほど何回も途中で止めたのに、今作では、ほとんど途中で止めることなく最後まで観ることが出来ました。


西洋的な世界と、東洋的な世界。神話と寓話。冷淡さと濃厚さ。荘厳さと矮小さ。狂気と猥雑。悲劇と喜劇。えげつなさとユーモア。それらの間で揺れ動き、現実と幻覚との間で揺れ動く。何もかもが曖昧になり、境界線が溶けていく感覚が魅惑的。どうせなら、じわじわと痛めつけられるより、いっそのこと、スパッとやっちゃってもらいたい。そんな気持ちになってくる。カラオケで供養してくれたらそれでいいからさ。


構図は完璧。(あの縦の映像の美しさ。縦に狭めていく感じ。何と表現するものなのか、私にはよくわからない。)レフン的色合いも完璧。光と影の美しさ。圧倒的なのにズッコケで、笑えてくる。観ながら、惹かれながら、多分、私もおかしいところにいっちゃったんだ。



----------


*母から粗末な扱いを受けていたマザコンのボクちんが、再び母の子宮に向かって手から戻っていく感覚は(あのボクちんは、ひょっとしたら、母の胎内から手を最初に出したのかもしれない)、「おかえり」「ただいま」ということなのだろうか。


*タイトルからすると、制裁をくだすと同時に赦すのは、多神教の神様達じゃなくて、一神教の神様なのだろうけれど、神様は複数いた方が楽しいのになと思ったりした。映画のなかにはギリシア神話に出てくるような神像があった(と思う)から、この映画において、神はやはり複数なのではと、ちらっと考えたりもした。でも、難しいことはよくわからないので、そのままにしておきます。雑念です。はい。
いののん

いののん