そして、これがリアルな街と若者の姿だと嘯く30年前の映画も見たりする。
宮台真司的な少女たちが強かに生存していく夜の記録だが、その混沌とした世界は原田眞人のオッサン脳からの飛躍した妄想でしかないので、トゥナイト2レベルの解像度。
一応は生々しさを売りにしている作品なのに、わざわざ役所広司と桃井かおりを引っ張り出してしまうのが、一昔前の作家としての見栄というか、まあそれが映画監督の矜恃でもあるとは思うので悪いことではない。その役所広司とオマケ程度のミッキー・カーチスは『KAMIKAZE TAXI』への露骨な目配せ。
それにしても佐藤仁美の芝居がうますぎる。役所広司とも一対一でまったく負けていない。二人のカラオケのくだりがおそらくこの映画のベスト。佐藤仁美を映画役者の中心として扱わなかった日本映画界に改めて失望。
原田眞人の映画は当然どれも0点だが、あの時代の街(まだゴチャついていた渋谷)と夜通し遊んでいても誰も気にしなかった雑な臭いがフィルムに刻まれている本作は、思い入れ込みで及第点。