<概説>
内向的な少年チャーリーの世界はとある二人との出会いで色彩を変える。破天荒なパトリックと美しいブロンドのサム。三人は様々な苦悩に悶えつつも、今日も青春の1ページを刻んでいく。
<感想>
グリーンの広告の清々しさにつられて視聴したら、予想以上に胸が苦しくなる作品でした。
どうして優しい人は彼等にひどいことをする人を好きになるのだろう。この一言に尽きます。
けれどノスタルジーで美化しない青春時代なんてのは案外あんなもので、最後のワンシーンの救済があっただけでもよかった。苦しめ青少年、明日が待っているぞと見送りたい。
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ちょっと余計なことを言ってしまうと、本作実はそんなに完全無欠のハッピーエンドでもないですよね。
サムとパトリックは前方(未来)を注視しているのに対して、チャーリーはそれなりに長いこと後方(過去)を静視している。壁の花はサムに手を引かれてようやく遥か彼方を臨みうる。
過去は変えられないという事実と同列に、過去は完全には振り切ることができないという暗示でしょうか。それとも薄暗いトンネルが過去のメタファーなのか。
どちらにせよトンネルは作中でも繰り返し現れていますから、チャーリーは幾度も自身の暗部と対面し続ける必要がありそうです。