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静かなる叫びのcoroのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
4.1
1989年12月6日、モントリオールの大学で実際に起きた銃乱射事件をもとに描かれた作品。








以下ネタバレ

犯行前のモノローグや幾度となくクローズアップされる無表情な視線。そこから犯人の無言の咆哮が聞こえてくる。それを知らない鳥たちは戸惑いの表情を見せた刹那、抗う暇も与えられず籠の中で果てていく。
エントロピーに関する会話の中で、去りゆく人が不可逆だと言うと残された人が可逆だと訂正する台詞や、少し長めのショットに収められた無機物たちが、命を奪われた人たちの手に差し変わるショットなど、見ているものの感性に委ねられる伏線の張り方がわたし好み

余分な情報を排除していくモノクロ色の景色。それでも白い粉雪がゆっくりとスローモーションのように心に刺さり、それがじわじわ捻れていって、いつまで経っても消えそうもない余韻だけが残る。

微かに見える光は優しいけれど…
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