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愛がなんだのcoroのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
3.5
恋人とは呼べない人への一途な片思いの模様を描いた、ちょっと変わった愛の物語。

冒頭のシーンだけで主人公(28歳のOLテルコ)の人柄が見えてくる。彼女の真っ直ぐな眼差しをいじらしいなって思っていると、いとも簡単に裏切られてしまう。叶わぬ恋に翻弄され、人生を狂わされてしまっても諦めない。こんなにも痛々しくて、どんな風に捉えてみたって歪なのに不思議と嫌悪感を感じないのは、テルコの持つ負の引力が正も負も突き抜けて逆に晴れやかだからなのかもしれない。

不思議ちゃんたちの一途が度を越して、ループしていく視線の先には歪な愛がいっぱい詰まっている。それを理解することが出来なくても共感も感情移入もできるから、ひとつひとつ外されていくボタンから哀しいよって言う声が聞こえてくる。

どこか「月とチェリー」と似通った、とらえどころのないすみれを飄々と演じる江口のりこの、うすら怖ささえ感じる圧倒的な存在感。そんなすみれとは対極をなす仲原くんの存在が、一見薄そうに見えて実は濃いところがこの作品の救いになっている。だから、寂しがり屋さんたちばかりが集う大晦日のシーンが私は好き
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