このレビューはネタバレを含みます
シンプルで綺麗な作品。
どれだけ明るく笑顔を振りまく人にも、きっと独り寂しく空を眺める夜があるように。
みんなきっと誰かに言うほどでもない不安や寂しさを抱えているとして。
理由は分からないけれど、いつのまにか大きくなってしまった心の寂しさが共鳴する、そんな瞬間がある。
それは例えば、売れないバンドの愛ばかり歌ったくさい歌詞かもしれないし、何気なく入った喫茶店の見栄えが悪いたまごサンドかもしれないし、路地裏の出口に見える掴めるように大きなまあるい陽かもしれない。
引き金は自分にさえ予想できないけれど、きっとそういうものなのだろう。
そして、この物語においてはそんな共鳴が
名前も知らない15歳と会社員に起こったんだろうな。
もしかしたら、その共鳴は相手が違っていても起こっていたのかもしれない。
ただの偶然と呼ぶのか、引き合わせと呼ぶのかは、結果次第である節を感じるけれど、
きっとあの時の彼女にとっては15歳の彼が、そして15歳の未来を見据える彼には、雪乃先生しかいなかったのだろう。
そう思う方が、いつか降るだろう雨が楽しみになる。
そう思わない?