紫陽花

劇場の紫陽花のネタバレレビュー・内容・結末

劇場(2020年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

見ていてつまらないというよりかは、苦しくなった。
それは、誰しも必ず少しは永田のように、自分が"何者"かであるはずだという気持ちを持ったことがあるからかもしれない。

かく言う私も、例外なくそんな思いを内に秘めていた。
いや、まだ消し去ろうと努めているだけで実際は閉じ込めているだけにすぎないのかもしれない。

この作品で感じたこと。
変わらないでいることにはそれ相応の努力が必要だということである。
時の流れというものは無情であり、万人に共通してその経過は与えられる。
その流れに置いて最も初歩的な経過の過ごし方として、その流れに身を任せるという方法がある。これは、人として成長こそしないものの、しかし時の流れを経ることによって何かどうしても変わってしまうものがある。

作中では最後まで変わることのなかった永田。
彼は彼なりに変わらない努力を行っていた。
裏を返せば、成長するための努力を怠ることが、変わらないことの努めになっていた部分もあるのかもしれない。
屁理屈を言おうが、なんにせよ時と共に変わっていく沙希と矛先が異なっていったことは事実である。

一度平行の道を選んだ二本の線は、二度と交わることはないのだから。
紫陽花

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