くろのにつけ

言の葉の庭のくろのにつけのレビュー・感想・評価

言の葉の庭(2013年製作の映画)
3.6
15歳の男の子が雨の日の1限目をサボって新宿御苑に行った先で出会った年上のミステリアスな女性。
「チョコレートにビール!?」
妙な組み合わせで朝からアルコールを飲んでいる様子に違和感を感じるも、何故かそんな彼女ユキノのことが頭から離れなくなってしまうタカオ。
やがてユキノもタカオに会うのを楽しみに日々を過ごすようになり、2人は互いに雨の日が訪れるのを待つようになっていたー。

新海誠監督による青春映画。
雨の表現、光の表現、風景の表現がとにかく綺麗で、とても繊細に描かれた映像美にこれが最新のアニメなのかと目を奪われました。
新宿御苑や新宿駅がリアル。
四季の移り変わりが感じ取れるのも素晴らしかったです。水の波紋や、雨が地面に当たって跳ね返った飛沫までも、気が配られていて透明感があり本当に見ごたえのある美しい映像のアニメーション作品です。

46分で描かれたもどかしく淡い恋模様は純文学の短編小説を読んでいるようでした。
弁当のおかずを交換して食べるくだりには観ているこちらがもだもだする(笑)。
味を感じられる、ご飯が美味しいってのは大事なことですね。
口数の多くない2人の「今までの人生で一番幸せかも」の瞬間が何気ない一時だったのがグッときますね。
ユキノの正体を知ってから喧嘩しに行き、万葉集の返歌を勉強して応えるタカオがシャレオツ。てかスマートすぎて紳士。
靴職人の夢を追う子供だと思っていたら一気にタカオが大人の階段登って成長した気がするのと、大人しいユキノが自分の心をタカオにぶちまける行動に出た最後のシーンが唐突で、少し強引な展開に感じて違和感がありましたが46分で回収して恋愛話をまとめるにはしょうがないのかとも思いました。
エンディング曲のRainが良かったので、この辺りのモヤモヤ感はかなり解消されて曲の力に持っていかれます。

「あの人はどうしているだろうかと、想う」
タカオは言の葉の手紙ばかり読んでないで四国へ行っちゃいなよ。
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